第2話 変身
ステッキに触れた昏上逢は光に包まれる。
素肌を纏う衣類は消えていき、肉体の傷は修復されていく。
茶色い髪は、白に紫を染めた様な不思議な色に変わった。
車両を押し退けて、彼女は崩落現象を起こしたダンジョンに立った。
「…これは」
傷の痛みは元から無かった。
それでも、この体の軽さは正直に言えば異常だ。
「契約は完了した」
旧壱新多は彼女を見ながら指を振るう。
未名称 LV.01
『職業』
/銃使いの魔法少女
『スキル』
/『
ランク:E
分類:予知系
説明:結末までの秒数を認識出来る
『魔装杖』
/『バレルブレイズ・ロッククシューター』
銃火器の魔装杖。
ライフルの様に長いロングバレルが特徴的。
彼が確認しているのは、昏上逢のステータスだ。
『魔女の
旧壱新多のスキルは、魔法少女を作るスキルだ。
当然ながらその工程を確認する事が出来る。
「名前は…」
彼女の姿を見る。
スレンダーな体に、装甲の様な衣類に身を包む。
関節が可動しやすい様に素肌を晒しているのが多い。
手には彼女専用の銃火器を模した魔法の杖が握られている。
「『シルバーバレット』としておこう」
彼女の姿から銀色を連想させ、銃火器に類似する弾丸からその様に名付ける。
すると、昏上逢のステータス内容が変動し、『未名称』である名前が『シルバーバレット』となった。
『シルバーバレット』 LV.01
『職業』
/銃使いの魔法少女
『スキル』
/『
ランク:E
分類:予知系
説明:結末までの秒数を認識出来る
『魔装杖』
/『バレルブレイズ・ロッククシューター』
銃火器の魔装杖。
ライフルの様に長いロングバレルが特徴的。
「これで良し…シルバーバレット、ダンジョンを脱出するから、協力を頼む」
旧壱新多は、新しく転生したシルバーバレットに手を伸ばす。
握手を望んでいる様子で、彼女は恐る恐る手を取った。
「あの…ありがとうございます」
シルバーバレットは旧壱新多に感謝の言葉を述べる。
「いや…感謝される程でもない…むしろこれから迷惑を掛けると思う」
バツが悪そうな表情を浮かべる旧壱新多。
「…それは、どういう事ですか?」
彼女がそう伺った時、薄暗いダンジョンの奥から音が響き出す。
「…モンスターか」
此処はダンジョン。
異世界と繋ぐ門。
当然ながら、ダンジョンには異世界の生物が存在する。
旧壱新多とシルバーバレットは、その異世界生物と対峙した。
「モンスターがやってくるぞ」
旧壱新多は暗闇に向けてスマートフォンのライトを照らした。
通路の中にモンスターが顔を出した。
そのモンスターは二本足で立っている。
牙をむいて白目を剥きながら唾液を周囲にまき散らしていた。
恐るべきその姿はモンスターの中でも最弱のゴブリンと呼ばれる生物だった。
それでも安心はできない。
たとえ弱い相手であろうとも人間を殺すのに十分な能力を宿している。
「相手はゴブリンだ。倒せるか?」
旧壱新多はシルバーバレットに対してそういった。
シルバーバレットは自らの武器の感触を確かめている。
「これ…私のスキルと合いそう…」
シルバーバレットはブツブツと呟きながら魔装杖を確認していた。
ゴブリンが3体、獲物を発見して、走り寄ってくる。
それを見たシルバーバレットは重火器をゴブリンに向ける。
「相手からの攻撃まであと13秒…」
彼女のスキルが発動していてゴブリンが攻撃してくるまでの秒数を確認した。
「(弾丸が当たる秒数…)」
銃口を向ける。
棺桶程の大きさを持つ銃火器の魔装杖を、彼女は構えずに銃身を揺らす。
「シャアアア!!」
ゴブリンが接近する。
シルバーバレットは、視界の隅に現れる『0.005』の秒数を確認すると同時に引き金を引く。
「命中」
構える事なく、彼女はゴブリンの胴体にエネルギーの塊を着弾させて風穴を開けた。
彼女は銃口を向ければほぼ確実に狙い当てることができる。
それは彼女のスキルによる賜物だった。
『
結末までの秒数を確認することができるスキル。
詳しく説明すればAから始まりBで終わるその間を秒数で確認できる。
シルバーバレットはゴブリンに着弾するまでの秒数を確認。
当然ながら、このスキルは当たることを想定している。
目標に着弾しなければ秒数が出ることはない。
逆を言えば秒数が出れば確実に目標に着弾するようになっている。
だからヘタに狙わなくてもよいのだ。
秒数さえ出てくれば、弾丸が確実に着弾するようになっているから。
三体のゴブリンを撃ち抜いたシルバーバレット。
重火器を杖のようにして一息ついた。
「お疲れ」
旧壱新多は、労いの言葉を口にしながら彼女のステータスを確認した。
『シルバーバレット』 LV.01→LV.03
『職業』
/銃使いの魔法少女
『スキル』
/『
ランク:E
分類:予知系
説明:結末までの秒数を認識出来る
『魔装杖』
/『バレルブレイズ・ロッククシューター』
銃火器の魔装杖。
ライフルの様に長いロングバレルが特徴的。
『ステータスポイントが3つ取得されました』
旧壱新多はどれに割り振るか考える。
彼のスキルは、契約した魔法少女のステータスの変動が可能。
レベルが上がり、ポイントを割り振り、育成する。
それが、旧壱新多のスキルの真骨頂だった。
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