第7話 友との別れ

「ふぅ、ようやくついたわね」


「そうですねぇ、結構長かったっすもんね?」


 合計して一週間と3日の長旅、その間は野宿&動きっぱなしだったのにも関わらず、体を軽く数分拭くだけだったので少し臭うかも知れない。


 今までは殆ど気にしていなかった生活魔法とやらを覚えるのも悪くないかなぁ、そう思える生活だった。

 服や体を清潔に保つだけではなく、食器なども一瞬でキレイにできるのはかなり魅力的だと思うんだ。


「貴方はお姉さんのところに行くのよね?場所はわかる?」


「はい、わかります。最後まで心配させてすいません」


「いいのよ、気をつけてね?シェル」


「またね、シェル」


 友達との別れ、寂しいものではあるが今生の別れというわけでもないのでそこまでしんみりする訳でもなく。

 全員が笑顔で別れることができた。


「いい人達だったなぁ、またいつか会いたい…」


 人と交流するのも悪くない、そう思えるようになる良い機会だった。


      ☆


 姉さんがいるのは王都の中心部にある居住区、その中でも一部のお金持ちだけが住めるという高級街だ。

 真ん中の方にあるということしかわからないので俺は中心目指してひたすらに歩く。


 本当にあっているのかもわからないが、しかし止まることはない。

 なんせあの人のことだから俺が来てることとか知ってそうだし、迷って道がわからなくても迎えに来てくれるはずだから。


 そのまま中心にひたすら歩くと、見えてきたのが門。

 この都市は2つの壁に囲まれたところで、王都に入るときに通った門が第一の壁。

 ここにあるのが第二の壁なのだろう、ということはこの先が高級街ということ。


「やはり俺の勘は間違ってなかったか…」


 とても重厚感のある門はこの先がいかに重要な場所なのかを伝えているようで、俺はゴクリとつばを飲み込む。


「すげぇ、姉さんってこんな金持ちだったんだ…」


 俺は門を通ろうと足を進めるが、そこでなぜか門番であろう人物に止められる。


「ちょっとお嬢ちゃん、この先は第二居住区だから侵入禁止だよ」


 “またか…“と少し面倒くさそうに肩を強めに掴まれる、しかしなぜ止められるのかが全くわからない。


「え?どういうこと?」


「…知らないのかい?仕方ないなぁ。この先は第二居住区と言ってね、国の重要人物しか入れないようになってるんだ。一応王の演説の日や祭の日は開放されているが、普段は許可のない人物の立ち入りは禁止されている」


「いやこの先には姉さんがいて…」


「そうやって入ろうとする人がかなりいてね、もしお姉さんがいるならその人に許可証を貰ってから来ることだ」


 俺がなんと言おうとも聞く耳はなし“ほら!あっち行った、しっしっ“と邪魔者をどかすかのように背中を押される。


 仕方なく姉の名前を出すと、俺の口をぐっと抑え込み。


「お、おいやめとけ!あの方の名前を安易に出すと殺されるぞ!これだから馬鹿は嫌いなんだ。お前のせいで俺まで巻き込まれたらどうするんだ」


 完全に取り乱し、周りをキョロキョロと確認しだす。

 そして誰も注目していないことを認識すると、ほっと息を付き安心し始める。


「これ以上とどまるようなら捕まえさせてもらうが…覚悟は良いか?」


 なんと俺は姉さんに会うことすら許されないようだ。

「捕まえるとか、ダル」

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