第5話 俺は適合しきれない
「すいませんでしたぁぁ!」
俺はギルドに入り、お姉様と顔を合わせるやいなや土下座をかます。
大体の人は最初にここまでされるとあまり強く怒れない!勝った。
「ふふ、別に良いわよ、元々貴方には早い時間を教えていたしね。まぁそれも30分だけだけど、流石に1時間半も遅れてくるなんて思わなかったけれど」
「本当に、すいません」
流石は天使のお姉様、殆ど怒っている様子はない。
しかしお姉様の後ろにいる少女はおかんむり、多分お姉様の仲間なんだろうけど…ファーストイメージがこれは少し不味いかも知れない。
「それじゃあ頭を上げて?説明を始めるわ。とその前に、この子は私の仲間のチャルドよ、二人もと仲良くね」
「よろしく…」
「よろしくお願いします」
☆
今回する仕事はトロールの討伐らしい、トロールといえばBランクのモンスター。
その討伐を任されるなんて流石お姉様。
「シェル、もう少し集中しなさい?気を抜くと危ないわよ!」
「はーい」
お姉様の言葉に従い周りを見渡すとそこにあるのは木、木、木。
前後左右どこを見ても同じ景色、面白みも無ければどちらから来たのかもわからなくなってしまいそう。
それからしばらくの間は警戒して周りを見ることが出来ていたが、10分もすれば飽きてしまう。
そうすれば見る場所は決まってくる、それは何かって?お姉様とチャルドさんのことだよ。
よくよく見なくても二人共美少女である。
お姉様は線の細い可憐な美少女であるしチャルドさんも可憐な美少女。
いや見た目が完全にロリであるから幼女か?
そんなチャルドさんの凄いところは、どこからそんな力が出てきているのかわからないくらいに大きな大剣を持ち歩いているところ。
色白で白髪のチャルドさんとは正反対の真っ黒の大剣はとても美しく、チャルドさんの魅力をより引き立たせている。
どちらも美しい、結局この一言に尽きるのだが。
と、そんなことを考えていると強い気配を感じる。
トロールがいる?と周りを見渡すと前方にドデカイ角つきを発見。
「皆気をつけて、すぐそこにいるわよ」
「ん」
「了解です」
事前にお姉様に言われていたとおり、俺は少し後ろめのところから弱めの魔法をポンポンと放つ。
俺の援護を受けながらお姉様とチャルドさんは前線に突撃。
お姉様は細いレイピアのようなものでスパスパと切り裂いていくが、チャルドさんは大ざっぱに叩き潰している様子。
二人共がとても強く、俺の出番はないように思えた。
俺の予想通り出番はなく、そのまま4体いたトロールを倒しきったお姉様達。
ちょうど二人が警戒をやめ、討伐証明のために角を採取しようとしたその瞬間だった。
チャルドさんに弓矢が飛来。
「止まれ」
既(すんで)のところで魔法を使い止めることができたが、チャルドさんは驚きで腰を抜かしていた。
「折れろ」
弓矢は遠くの方で漁夫の利を狙っていたコボルトのもの、その程度なら魔法で首の骨を折っておしまいだった。
「大丈夫ですか?チャルドさん」
腰を抜かしてぺたりと座り込んでいるチャルドさんに“掴まってください“と手を差し伸べる。
すると恥ずかしそうにしながらも、
「助かった…少し認めてあげる」
と発言。
可愛すぎないか?この恥ずかしそうな顔は反則だろ…と俺は完全にチャルドちゃんの虜にされてしまった。
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