第10話 新人戦

5月になり、新人戦が始まった。

私は男子バレー部が午前中。

午後が剣道部の試合があるので、建物が近い事もあり朝から男子バレー部の試合会場へと向かった。

市民体育館を開けると、広くて綺麗でびっくり。

各学校でまとまって陣地を取り、自分達の試合を待っているようだった。

私と中村さんは、男子だらけの体育館の観客席でどうしようかと相談していた。

その時、突然、頭に何かを乗せられた感覚があって見上げると、何故か紺野先輩と男子バレー部のキャプテンの川上先輩が立っていた。

「おはようございます」

慌てて川上先輩にお辞儀すると

「おいおいおい!俺は?俺には?」

って、紺野先輩が叫ぶ。

「これから言おうと思ってました」

私が目を据わらせて言うと

「本当か?お前、絶対に俺を見えないフリするつもりだっただろう?」

甲高い声で言われて、私が益々目を据わらせる。

すると川上先輩が

「今日、取材に来るって聞いてたから、俺達の場所に呼びに来たんだよ」

そう言って、中村さんの荷物を持ってあげている。

(川上先輩紳士!)

感動してから、隣の紺野先輩に目線を送る。

「なんだよ。お前も持って欲しいなら、持ってやらなくもない」

と言われ

「大丈夫です!」

そう答えて、自分の荷物を掴んだ私に

「お前、本当に可愛くないよな。そこは『わぁ〜、先輩。ありがとうございますぅ〜』とか言えないわけ?」

と言って来た。

「わー、先輩。ありがとうございます(棒読み)」

と、死んだ魚の目で答えた私に、紺野先輩は吹き出して

「お前、本当に変な奴だよな」

って笑ってる。

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