第7話

良く響く声が

「人間って、本当に顔が青くなるんだな……」

って、人の顔をマジマジ見て呟くと、初めに声を掛けてくれた優しい声の先輩が

「紺野、お前あっちに行ってろ!」

と怒っている。

すると場の空気を全く読めない紺野と呼ばれた元気な先輩は

「徳山〜、冷たい!俺とお前の関係は、そんなに冷えてしまったの……」

と、泣き真似をし始めた。

なんだ?このやたら元気なひょうきんものは…。

止まらない吐き気にぐったりしていた私を、「徳山」と呼ばれた先輩が

「顔色、凄く悪いから保健室行こうか」

と私に声を掛け、結局、私はその先輩に保健室へと運ばれた。

30分ほど横になると、大分体調も復活!

保健の先生に挨拶をして、私は教室へと戻った。

その後、放課後に学級委員会で生徒会会議室へ向かうと

「あ!顔が青かった子!」

って、紺野先輩が私を指差して叫んだ。

すると議長席に居た徳山と呼ばれていた先輩が

「紺野!うるせぇ!」

そう言って紺野先輩の頭を叩き、議会は厳かに行われた。

……そう、これがきっかけで、何故か私は紺野先輩に「可愛がられる」事になるわけだけど……。

別に私は彼女でもなければ、友達でもない。

単なる1年2組の学級委員長なだけなのに…。

そんな事を考えていると

「紺野!」

って菅野先輩が2階の窓に手を振った。

すると、なんと2階の窓からヒラリと飛び降りてきたのだ。

「ひぃ!!!」

私と中村さんが抱き合って怯えると

「菅野、何?」

って答えながら、怯える私達の顔を見て

「あ!相原じゃん。何してんの?」

と言って、私の顔を覗き込む。

(近い、近い、近い!)

この人のパーソナルスペースはどうなってんの!って叫びたくなる。

すると

「新聞部に入ったんだって。アンケートに答えて欲しいらしいよ」

と菅野先輩が言うと

「アンケート?OK!ちょっと待ってて」

そう言うと、例の通る声で

「徳山〜!榊と小野沢連れて、こっちに集合」

って、2階の踊り場に向かって叫んだ。

すると他の3年生の先輩方も集まってしまい、アンケートの集計が一気に20人以上集まってしまった。

「アンケートって、何人必要だったの?」

紺野先輩に聞かれて

「特に言われていないですけど……、多分10人くらい?」

と答えた私に、菅野先輩が

「良かった!じゃあ、ノルマは超えてるわね」

って微笑まれた。

「どうだ!俺様のお陰で、ノルマ達成出来た気分は!」

ふんぞり返る紺野先輩に、乾いた笑顔を返すと

「お前な、そこは可愛らしく『ありがとうございます。紺野先輩。ハートマーク』位言え!」

と言われ

「ハートマークって、口で言う人初めて見ました」

冷静に返す私に

「お前、本当に可愛くないなぁ~」

って、鼻を摘まれた。

「ちょっ!止めて下さい!」

そんな先輩の手を払う私に

「紺野~、しつこいのは嫌われるよ~」

と、菅野先輩にからかわれてしまう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る