第6話 憧れと恋の違いって?

愛ちゃんは剣道部に入部し、私にも一緒に入ろうと誘って来たけど……。

運動が苦手な私には、とてもじゃないけど無理!筋トレ毎日なんて、死んでしまう!と、お断りした。

でも、文化部だとしても何処かに入らなくてはならず、部活をどうしようかと悩んでいると、同じ小学校で同じクラスになった中村ほのかちゃんが声をかけて来た。

「相原さん、部活悩んでるの?良かったら、新聞部に入らない?」

と誘われた。

「新聞部?」

って聞き返すと

「そう。運動部の大会とか、取材で見に行けるんだよ!飯田さんが剣道部でしょう?取材に行けば、授業受けずに大会を見に行けるから寂しくないよ」

なんて、素敵なお話が来た!

「入るー!」

中村さんの手を握り締め叫ぶと

「良かった~。1年生が私しかいなくて、寂しかったの」

と、彼女は小さく微笑んだ。

で、私はその日のうちに入部届けを出して、見事、新聞部に入部した。

すると、中村さんの必死の勧誘の効果か、私が入部した時は私と中村さんの2人だったのが、気付けば10人も入部していた。

3年生が5人、2年生が2人、1年生が10人という大所帯になった。

しかも、3年生は全員女子。

2年生は男女1名ずつ。

私達1年生は、女子8名の男子2名で、一気に大人数になったので、部室が旧校舎の小会議室から図書室に移動になった。

うちの学校の図書室は、残念ながら名ばかりの図書委員が管理していて、全く機能していない。

誰も来ない図書室に、私達新聞部が本の管理を兼務で部室として使う事になったのだ。

新聞部入部初の部活内容は、新聞部発行の学校新聞の作成。

私達1年生の初仕事は、3年生の出したお題をアンケート調査に行くというものだった。

メモ用紙を片手に、バラバラに散らばりアンケート調査に向かう。

私は中村さんと一緒に靴箱がある場所でアンケート調査になった。

ドキドキしながら現れる人に、先輩、同級生関係無く声を掛けてアンケートを取る。

すると生徒会副会長の菅野美里先輩が現れて

「あれ?1年2組の学級委員会委員の子だ」

って、声を掛けられた。

私は入学早々、何故か学級委員長に選ばれてしまい、これまた何故か生徒会の方々に可愛がって頂いていた。

「あ!菅野先輩、新聞部です。アンケート調査にお答え頂けますか?」

と言うと

「ちょっと待ってね。さっき、紺野もその辺を歩いてたよ」

って言われ、私は顔を引き攣らせる。

紺野先輩とは、生徒会の書記をしていて、面白い性格なので1年生から大人気な先輩だった。

158cmの小さな身体でバレー部というこの先輩に、私は何故かめちゃくちゃ可愛がられている。

そもそも、私が生徒会の方々に知れ渡るきっかけは紺野先輩だった。

中学入学早々、全校集会で貧血を起こした私は、体育の先生に抱き抱えられて外に運び出された。

体育館は3階にあり、私は体育館の裏側にある踊り場のベンチに座らされた。

すると

「大丈夫?顔色、真っ青だよ。辛かったら、横になってね」

と、優しい男の先輩の声と共に頭を撫でられた。

朦朧とする意識の中で頷くと

「あれ?又、貧血?」

甲高い声がして、私の顔を覗き込んで来た。

「え!こっちの子、凄い顔が真っ青!あれ?なんであっちの子は黄色いの?」

よく通る声が響き、最初に声を掛けてくれた先輩が

「紺野!うるさい!」

と、小声で制した。

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