第3話
中学に入って、クラブ活動を決めなくてはならず、クラブ見学に回った。
愛ちゃんは既に剣道部に決めていて、私に見学だけ付き合って欲しいと頼んで来た。
部活見学の用紙を担任にもらい、私と愛ちゃんが剣道部の部活を見に行こうとしていると
「そこの1年女子2人」
って、声を掛けられた。
振り向くと、身長が150cmちょいの細身の男子が紙を持って立っていた。
「クラブ見学カード、落としたよ」
と言われ、愛ちゃんが自分の紙を私に見せる。私……話に夢中になって、紙が無い!
「あ!ごめんね。ありがとう……」
そう言っていた微笑むと、その人が履いている上履きが見えて……、頭が真っ白になった。
(上履き緑!)
「ございます!すみません、すみません!」
紙を受け取り、ひたすら頭を下げた。
いや、だって……先輩って言ったら、背が高くて大人びてるじゃない?
見た感じ、同じクラスの名前の順も背の順も1番前の安藤(男子)と同じ背丈だよ!
怯える私に、先輩はクスッと小さく笑い
「元気だなぁ~、1年は」
そう言って、私に紙を手渡して隣を通り過ぎて行った。
声変わりしている最中なのか、少し高いけどハスキー気味の声。
中学に入って、初めて話した「先輩」という存在に私はドキドキしていた。
先輩の姿が見えなくなり、私はゆっくり愛ちゃんを見て
「どうしよう!タメ語で話しちゃった!呼び出されるかな?生意気とか言われちゃうかな?」
怯える私に、愛ちゃんは呆れた顔をして
「大丈夫じゃない?先輩、気にしてなさそうだったし」
と言うと
「それより、早く柔剣道室に行こう!」
そう言って、愛ちゃんに手を引かれて私はまだドキドキしている胸を、先輩に怯えてドキドキしてるんだと言い聞かせて柔剣道室へと向かった。
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