第2話

真海まなみ~!」

真新しい制服に身を包み、緊張しながら中学の校門を潜ると、小学校からの親友の飯田愛ちゃんが手を振って待っていた。

2人並んで校庭から靴箱までの道を歩いていると、桜並木が校舎までの道をピンク色に染めている。

自宅に送られて来た手紙に、私のクラスが書いてある紙が入っていた。

名札には『1年2組 相原真海』と書いてあり、胸ポケットに校章と名札を並べて着けるように指定されていた。

学校のマークに学年色が縁取られた校章がカッコよくて、私達の学年色はエンジ。

2年生は緑、3年生は青になっていた。

上履きも学年色が入った上履きで、今思えばたった1つや2つの年の違いなのに、上級生がやけに大人びて見えた。

私と愛ちゃんは同じクラスで、相原と飯田で靴箱も座席も近くになった。

愛ちゃんは小学校では有名な美少女で、近隣の小学校3校が集まる中学では、他の小学校卒業の奴等がクラスに見に来る位だった。

しかも性格も明るくて優しくて、私は凄く大好きだった、

そんな愛ちゃんは小学校からずっと好きな人が居て、そいつに告白して

「俺、好きとか付き合うとか、よく分からない」

と振られているのだ。

せめて嘘でも「他に好きな人が居る」とか言われれば諦めが着くものの、「恋愛が分からないから無理」と言われてるので諦めが着かないのだろう。

小学校5年生から持ち越して、片思いも今年で3年目に入る。

この頃の私には、好きとか付き合うとかそういう感情が分からなかった。


なんであんな奴の事で泣くんだろう?

なんで好きな人が、他の人と話してるだけで怒るんだろう?


友達の恋愛話を、私は何処か少女漫画の中の出来事のように聞いていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る