VSエトレート

朝、魔法中等学院にいくとすでに人がごったがえしていた。第一試合目は俺と、ノストラおじさんの息子のエトレートである。


舞台に上がるとすでに観客席は満席と言っても過言ではないくらいになっていた。


「ザグ-頑張れー」

「そんないけすかないやつは叩き潰せー!」


いやアリス、仮にもノストラおじさんの息子で王子様だぞ?まあ、こんななかなら誰が言ったとかわかるわけ無いか。


「ザウグレス!負けたらどうなるかわかってるでしょうね!」


母さんが微妙な脅しをしてきた。


「ザウグレス君!遠慮は要らないからな!こてんぱんにしてくれ!」


おい待て、今ノストラおじさんの声が聞こえたぞ?案の定ノストラおじさんの方を見ると護衛の人にたしなめられている。まったく、何をやってるんだか……


「殿下が来たわー!」


そんな叫びが聞こえたと思ったら何故か殿下コールが始まった。当の本人が嫌そうな顔をしているところを見ると単純に人気過ぎて困っているのだろう。


「災難だな」

「まったくだ」


そう言ってエトレートは肩をすくめた。


「父上からお前の話は聞いている。まさか初戦で当たるとは思わなかった」

「そうか?」

「だが残念だったな。勝つのは私だ」


フッと軽く笑みを浮かべるエトレート。ノストラおじさん、絶対に嘘を教えたよね?少なくともノストラおじさんは俺の戦果を知っているはずなのに。


「それでは始め!」

「ライトニング!」


開始の合図と共にエトレートが電撃を放ってきた。上位魔法か。結構やるな。


それに開始と同時に放ったということはすでに詠唱を終えて待機させていたのだろう。その状態であそこまで自然に喋れるのなら大したものだ。俺はエトレートの評価を何段階か上げる。


それに電撃魔法というのもポイントが高い。基本6属性のなかでは扱いが難しい部類に入るし、発動してしまえば迎え撃とうにも間に合わない。普通なら。


俺はエトレートと同じライトニングを使ってエトレートのライトニングを相殺した。


「ほう、お前も待機させていたのか。やるな」

「何を言っている。今組んだに決まっているだろう?」

「嘘をつけ!そんなことが出きるわけがない」 


まったく。今までどれだけ魔法を練習してきたと思っている上位魔法ライトニング程度なら無詠唱かつゼロコンマ何秒で発動できるに決まっているだろう。


「ならもう一度試してやる!ライトニング!」


ふうん。2つも待機させていたのか。まあ、1個待機させられるなら2個も3個も変わらないか。


第一、来るとわかっているなら発動までのゼロコンマ何秒の間に術式をいじくって暴発させてしまえばいいだけのこと。というか、俺の待機させている魔法の魔力消費量が半端でないため早々に決めさせてもらおう。


ボン!と音をたてて術式が爆発した。そのタイミングに合わせて俺は待機させていた波動腕でエトレートを場外に殴り飛ばした。これで素人目にはエトレートは自爆して場外に吹き飛んでいったダサいやつと思われるだろう。


場外に落ちたエトレートは何が起こったのかわからないといった表情で固まっていた。


「最上位魔法を使わなかっただけましだと思ってくれよ」


その俺の呟きが聞こえたのかどうかは知らないがエトレートがパタッと気絶した。

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