実技試験
昼からは実技試験だ。順位ごとに実技試験会場が分けられており30位までの受験者が同じ会場にいる。30位までなのでアリスは別会場だ。アリスが何かやらかさなければいいけどな。
「1位から始めます。ザウグレス=リームロック、前に出なさい」
「はい」
試験内容はいたってシンプル。50メートル先にある的をどんな魔法を使ってもいいから撃ち抜くというものだ。
前に出ようとする俺にレストンがくぎを刺してきた。
「絶対に会場の破壊なんてするなよ?」
「しねえよ」
こいつ……俺をなんだと思ってやがる。
俺が試験管の隣に立つと試験管の人もくぎを刺してきた。
「リームロック……エリーの弟か。国王様から話は聞いている。絶対にこの会場を破壊するような魔法は使わないように」
ノストラおじさんめ……どんなことを試験管の人たちに吹き込みやがった?ってそれよりも……
「姉さんを知っているんですか?」
「去年まで担任だった。エリーのように問題を起こして回らないでくれよ?」
全く……何をやっているんだあのバカ姉は。あれで優秀だからたちが悪いと横でぼそぼそ言っている試験管のおっさんがいるが気にしないようにしよう。
「……姉がお世話になりました」
「なんだ。あのエリーの弟の割には礼儀正しいじゃないか」
よし。気持ちを切り替えてさっさとあの的を破壊してしまおう。いろいろ考えたがやはりよくわからない魔法よりも誰が見てもわかる魔法の方が試験的にはいいだろう。なので適当に的の真下からダイヤモンドステークを繰り出して的を粉砕することにした。
的が吹き飛んでみるも無残な姿に変わった。やはりこれが一番周囲に影響を与えずに的を破壊する正解だな。これならレストンのやつも満足だろう。
「……む、無詠唱?」
「試験管のおっさん?」
「あ、ああ。スマンスマン。次、レストン=トリリア!」
試験管のおっさんは気を取り直してレストンの名前を呼んだ。
「なんだ。やればできるじゃないか」
レストンがすれ違いざまにフッと笑った。腹立つわ~
その後レストンも無詠唱で魔法を使って試験管と受験生たちを固まらせたのは言うまでもなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます