夢も恋も明日もあなたに全部あげる

本作は、愛の話である。

冒頭が良い。
期待させる書き出し。
海賊が歌っていることで、どんな話なのかがすぐ読者に伝わる。

フィリップの胸を打ったのは、人魚とフィリプが同じだからだろう。
戦争で家族を殺されて一人となったフィリップ。
仇討ちで家族を殺されて一人となった人魚。
似た境遇の二人が、本音でまっすぐ語り、微笑みながら「あなたはとても優しい人ですよ」と声をかけられたのだ。
まさに、彼が長年求めてきた言葉であり、思いであったのだ。

人魚に名付けた「マーガレット」がいい。
師匠であるフレイム船長から昔聞いたことのある花の名前を贈るのだ。
師匠のフレイムが二人の結婚に立ち会ってくれているみたい。