板野かも様主催「再会」編

【No. 106】陽炎ちゃんと腸炎ちゃん

 ある日うまれた「ほのお」さん。「」さんからうまれました。はじめは火さんの周りにあるものを表すためだったようです。例えば光だとか、熱。そういったやつですね。


 いっぽう、ひとによっては、炎さんを「火さんの強化版だ!」って言ったりもします。別にそれが不満って訳じゃないんだけど、まぁ、せっかく生まれたんなら別のひと扱いして欲しいよなーとは思うのです。もっとも火さんはめっちゃメジャーですし、より強い、って言われるのにはまんざらでもないご様子。わかんないですけどね、直接聞いたわけじゃないですし。



 この世界では、いろいろなひとがいろいろなひとと交わって子をなします。そういうのが道徳的によろしいというフィクションなんです。


 たとえば炎さんとくっついたひとのうち、「よう」さんがいます。このひとにもいろいろな性格がありますが、このときは「いつわり」と言う性格が強く出ていました。「陽動ようどう」さんとかが有名ですね。ふたりがくっついて生まれたのが「陽炎かげろう」ちゃん。春先、別に炎さんがいるわけでもないのに、まるで炎さんがそこにいるかのように、空気がゆらゆら揺らぐ。そこから名付けられました。



 あるとき、外国からすごいやつがやって来ました。その名前は Inflammation さん。ご両親は Inflame さん、-ation さんです。命名の由来を聞いたら「炎のような(Inflame)状態になる(ation)」とのこと。どこが? と聞けば、身体の一部なのだそうです。


 炎さんはその話を聞いてびっくり。自分がひとにとりつくと、熱い。となれば確かに炎みたいな状態だ! なので炎さんは Inflammation さんからの取りなしで、「しょう」さんとの間に「炎症えんしょう」ちゃんを産みました。


 一方で、地味に炎さん自身と炎症ちゃんが同一人物扱いされることも多くなったりします。そこに出会ったのが「ちょう」さんでした。生まれたのが「腸炎ちょうえん」ちゃん。



 炎さん、びっくりします。陽炎ちゃんと腸炎ちゃんの、なんとそっくりなこと! 眠いときに見たら、本当に見分けがつかないです。



 もちろん陽さんと腸さんは、ともに「よう」さんの子。ただ話を聞くと昜さん、相当やばげなひとだったみたいです。


こざとへん」=「」さんは、はじめ昜さんの太陽の昇るがごとき光り輝く側面に惹かれたものの、その表裏の激しい側面にも出会ってしまったのだとか。それはさながら、丘のおもてには日が当たり、うらには影が落ちるかのような、くっきりとした両面性。


にくづき」=「にく」さんについては、出会って産んだはいいけど、どうもその子が「ちょう」さんとの取り違え子であったようなのです。もっともそれも巡り合わせと言うことで、そのまま育てたのだとか。



 こうして昜さんの子孫が炎さんの下で再会したわけですが、なんでそっくりかって言われても「偶然です」としか答えようがないわけですよね。


 あ、ちなみに昜さんの消息はよくわかっていません。「」さんがあのひとと間違えて因縁掛けられてほとほと困ってる、って話はよく聞きますが。

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