影に潜む元締め
影に潜む元締め1
狂犬一家は騒ぎのあった中心に木箱を並べて腰を下ろし、各々勝手に散らばった商品に手をつけていた。
「ねえ
「見ればわかります。それより口のなかに物を入れたまま喋るのは行儀が悪いですよ
「おいおいこいつが行儀よかったことなんぞあんのかよ」
「あ、あるもん! あんたたちが見てないだけでしょ!?」
「ははは確かに
「あんたは見えてるでしょなに笑ってんの目ん玉井戸水で洗ったほうがいいんじゃないの!?」
そしらぬ振りで盛り上がっている三人を自警団が囲む。
「テメエらか、市場の真ん中で“まつろわぬ民”を売るなんてデカい声で言ってやがった馬鹿共は」
リーダー格と思しき整った顎髭の男が
「ええ、ええ、確かに僕たちですよ。まあ肝心の商品はこのどさくさでどこかいってしまったようですけどね。もしかしてお買い上げをご希望でしたか? 一足遅かったですね。いや残念」
「ちっ、ふざけやがって……まあいい。ガキ共には用はねえ」
忌々しげに吐き捨てた男の言葉に少し考えた
「それでは女でしょうか。少々とうが立ってますしこんな顔ですからご用命ならお安くしておきますよ?」
「この
「
「うっさいわ」
「テメエらいい加減にしろよ」
ふざけた態度のふたりに苛立ちを抑えきれなくなった顎鬚の男が無造作に
「僕に許可なく
「ぐ、あ……っ」
「その辺にしとけよ
彼が
ゆらりと立ち上がってあいだに入り仁王立ちになる
後ろに控えていた“自警団”の面々も殺気立ち各々得物に手をかける。
「やめろ」
男が部下たちを制止した。
「元締めがテメエらをお呼びだ」
その言葉に
「お前らの元締めってのは“悪人形”の旦那のことかい?」
“自警団”の面々が一瞬ざわついたが、顎髭の男は「余計なことは言わずにさっさとついてこい」と低く言うだけだった。
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