命を懸ける少年3
少年の行動に
少年の握りしめたフォークは
「おいおい、なにすんだ?」
少年はまったく意に介さず立ち上がった
「お、弟と妹は俺が……俺が、命を懸けて守る!」
その言葉に
「命を懸けて、か。そのために、ロクに刺さりもしなかったフォークで戦うのか?」
「そ……そうだ! たとえこの命に代えても、お前らを倒す!」
少年は僅かに言葉に詰まったが、強い決意を込めて言い返す。
そして次の瞬間には弾けるように踏み込んだ
幼いふたりが「ひぃっ」と短い悲鳴を上げて涙目で屈み込む。
「ちょっと殺さないでよ?」
「お前なにがしてえんだ?」
「なに……って……」
半身で起き上がりかけた少年の頭上を暴風を纏った中段蹴りが掠め、背後の木が派手な音を立てて倒れた。
少年は思わず首を竦め、恐る恐るそちらを見ていた弟妹がまた悲鳴をあげる。
「ガキどもを守りてえのか、俺様を倒してえのか、どっちなんだ?」
「両方だよ! だってあんたらを倒さなけりゃふたりは守れないだろ!」
「刺さりもしねえフォークでどうやって倒すのかも見物だが、万が一ここで俺様を殺せたとしてだ。それでお前、あいつらを守れんのか?」
「おかしなもん食わせて自分
確かに、この場を切り抜けてもこの森のなかで三人でやっていけるかと言われれば、少年には自信がない。
「そもそもだ」
「お前、命を懸けて守るっつったよなあ。なのに勝機のねえ相手に頭から突っ込みやがって、お前が死んだら残されたガキどもは誰が守るんだ? お前が守ろうとしてんのは自分のつまんねえ自尊心だけなんだよ」
違う、俺は本当にふたりを守ろうと……そう思いはしても、少年はそれを言葉にできなかった。
気まずさと緊張感の詰まった静寂を破ったのは
「はいはいご飯食べてるときにお説教はやめてちょうだい! だいたい子ども相手に大人げないわよ!」
「
「いいのよどうせ刺さりゃしないんだから」
「ぷふふ、ちょっぴり血ぃ出てるじゃん。舐めたげよっか?」
「っせえな。今日は気分じゃねえ」
からかうような
その様子に
「あなたたちも今のうちに食べられるだけ食べておきなさい。お腹いっぱい食べる機会も温かいものを食べる機会もこれが最後になる。それくらいの覚悟でね」
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