第24話

 最上階は美術館になっていた。

 入り口には一人の男のようなもの。


 首から下は男だ。

 上から下まで、きっちりとした黒のスーツを着ている。

 仕立てのよさそうなネクタイには、きらりと光るネクタイピン。

 全体に金のかかった装いだ。


 だが、顔が人ではなかった。

 漆黒の金属の卵。

 体格から見る限り、本来あるべき顔が入らない程度の金属でできた卵状の球体。

 それが待っていた、男らしきものの姿だった。


「よくぞここまでおいでくださいました」


「待っていた、のか?」

「ええ。こちらがです」

 男らしきものの背後から出てきたのは、身長2.5メートルほどの人形。いや、ロボットなのか。


 非常に大男の鎧武者といった風情だ。

 蒼く鈍色に光る金属のパネルが身体を覆っている。

 関節は黒い軟質の何かで覆われている。


 右手にはハルバード。

 長柄武器の一種で、戦斧と槍を合わせた武器。

 斧部と鉤部を先端の左右に、頂端に槍部を備えているため、突く、斬る、刺すなど、どんな攻撃でも可能にする。


 大きく振りかぶった。


 問答無用でグロックの引き金を引く。

 ヘンリーも同様にミニ14の銃弾を撃ち込む。


 だが、すべての銃弾が跳ね返された。


「な……」


 突進してきた。

 ハルバードが俺めがけて振り下ろされた。

 横っ飛びに逃げる。


 ハルバードが床材を大きく抉った。


「完全防弾……?」


 ならば。


 グロックをホルスターに戻し、刀を腰に引き寄せる。


「ヘンリー、少し離れてて。援護射撃は適当に」

「わかった」

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