第2話

 俺の名前は斎藤悠理。

 日本人だ。

 年齢は27歳、男。



 だった。


 今の外見は、と言えば年の頃は12~3歳。性別は女性。

 黒髪は元のまま。肌の色や顔立ちなどはモンゴロイド系なので、どうも元の身体の形質を引きずっていると思われる。


 職業は……あまり褒められたものではない。

 民間軍事会社の社員。

 銃を持ったサラリーマンである。

 施設警備に要人護衛。一応建前上最前線に出ることはないが、まあ、昔でいうところの傭兵というヤツだ。

 日本で自衛官をやっていて、在日米軍の友人からスカウトされて転職した。

 スカウトと言っても、空挺や特戦などのエリートだったわけではないし、レンジャー資格も持っていない。いたって普通の普通科の隊員だ。

 ただ、大道芸人の真似事が得意だったのと、英語がそこそこ行けたという理由でスカウトされ、結果として要人護衛に重宝されることになった。

 サムライ、ニンジャ、日本の幻想バンザイって感じだ。


 まあ、あまり褒められた話ではないかもしれないけど。


 一番新しい仕事は、南米の海に浮かぶ島に出かける、とある企業の人間の護衛だった。

 いや、だったはずだ。


 記憶に霞がかかったような違和感。

 何だろう。


 俺は、あの島で……。


 頭痛が走る。

 何だろう。


 まあいい。

 外へ出ると、そこにはスポーツ用品店が存在した。

 この店の倉庫、というところか。

 それなりに整備された道沿いのスポーツ用品店。

 同じような形の店舗がずらりと並んでいた。

 飲食や衣料品など。そして、道路の向こうにはそれなりに大きなショッピングモールの敷地のようだ。

 立体駐車場に五階建てくらいはありそうな建物。


 とりあえず、目立たないように店舗に向かって進んでみる。

 とは言え、目立たないように、と言ってもカメラなどから身を隠すための障害物は、ところどころに止まっている車しかない。

 ワンボックスにトラック。

 業務用のものだろうが、2ドアのスポーツカーも混じっている。

 おそらく、店舗に人がいる様子はない。

 だが。


 今回の仕掛けをした人間の車、ということなら話は別だ。

 ただのスポーツ用品店と思うことが間違っているかもしれない。

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