霧海




 多分。絶対。俺と梅田さんが一緒に片手読みをしたら、小学三年生の梅田さんの幽霊も小学三年生の俺の幽霊も、消えるか戻るかしてしまう。

 それが自然の摂理なのだとも思う。


 なんて、思い込んでいたし、絶対そうだろうって決めつけていたけれど。


 二人とも、何の予兆もなく、別れの言葉も行動もなく。

 あっさりと消えてしまった。


 戻ったとは、思えなかった。


 だって、胸に小さく穴が開いたのだ。











(2022.9.13)


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