タスク
二人で(主にキリが)考え始めたタスクは以下の通りである。
【① 1日同じ場所にいること
② 3時間話すこと
③ 買い物に行くこと
④ 好きになること?
⑤ 】
ちゃんと論理立てて、作られたものとは言えないし、正しいかどうかもわからなかった。
もう5分が過ぎたが、お互い話が始まるのを待っている。そんな状態で決まるわけがない。結局時間だけが過ぎていき、④と⑤のタスクは後からまた考えることになった。
【ばあむ】で別れてマンションに帰った時には17時半で、イオリは擦り切れてボロボロの心でベッドに横たわるのだった。イオリはこの晩、すぐにでも京都から逃げ出すことを何度も画策したが、無駄だった。
そして翌日の朝、イオリは簡単な荷物をまとめてキリの家へと向かっていた。それもこれも全てキリの指示通りだ。キリに操られているかのように、イオリの意思は動かなくなっていた。意外にも二人の家はそこまで遠くなかった。キリの家は銀閣寺の辺りだったのだ。
『① 1日同じ場所にいること』が始まった。
キリの家は京都の古風な空気をたっぷりと吸い上げたような3階建ての家屋だったが、内装は新築のように綺麗だった。1階はリビング、2階はキリの部屋、3階がイオリが使う部屋だった。キリから家の説明を聞いている途中も、イオリはすぐにでも逃げ出してしまいたいと思った。何度もだ。
イオリは3階にキャリーケースを下ろして、床に座り込んで力尽きてしまった。じくじくした不安が胸の中を蝕むのを感じた。
イオリがキリに言われた通りに1階に降りると、リビングとキッチンの他に、書斎が一つあった。キリはその書斎から出てくると、リビングのソファに座る。2つの白いソファが向かい合っていた。アジアンテイストの装飾品や雑貨が、落ち着いた内装の中で映えている部屋だった。
イオリは指示されてキリの向かい側のソファに座る。お互いに会話がなかった。この地獄の時間が早く終わって欲しいということは、発案者のキリでさえも思っていた。しかしキリがやめると言うことは、彼の性格と目的上できないので、二人は地獄のような1日を、何もできないままただ潰していた。
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