第5話

 キーンコーンカーンコーンとチャイムが鳴り、終礼を迎えて放課後となる。


「おい」と春馬が俺に声をかける。

「んだよ〜」

「お前……昼休み終わってからずっとニヤニヤしてて気持ち悪いんだけど」

「そうか〜?」

「ああ、そうだ! お前、絶対放課後なんかあっただろ!」


 黒宮さんとのキスにより無意識にニヤニヤしていたらしい。

 俺は両頬を叩いて。


「べ、別に何もねえよ!」


 すると、春馬が俺の肩を組み。


「絶対嘘だな! おい、もしかして黒宮と何かあったのか!?」

「いや……何も」

「何かあったんだな」

「……」


 黒宮さんからあ〜んをされて幸せな気分にならない人間なんて多分この世界にいないだろう。

 つまり、今の俺は幸せだということだ。


「じゃあ、俺はこれで──」とスクールバックを手に持つ。

「おい、逃げんなっ!」


 俺は春馬を見てニヤリと。


「今から黒宮さんと帰るんだ」

「く〜、幸せもんめ!」


 こいつには彼女がいるというのに……西園寺先輩にこのことが聞こえてないことを祈るとしよう。

 

 やはり、学年で二番目に美少女と名高いだけあり付き合った途端に俺なんて興味がなかった人たちからも興味を持たれてしまい、一日中色んな人に見られ悪口を言われていた気がした。 

 改めて黒宮さんが有名人であることを知らされてしまった。



 黒宮玲奈……!

 

 直接喋ったことはない人物だ。

 けれど彼女が誰なのか知っている。

 多分向こうも私のことを知っているはずだ。


 放課後、私はスクールバックを持ちすぐさま、二年A組へと向かう。

 

 直接話して、優希と別れさせてやる。

 私の幼馴染を、私の結婚相手を、私の鈴木優希を奪いやがって……。

 

 私は作り笑いで終礼をちょうど終えた二年A組へと入り、黒宮玲奈の席へと向かい。


「あの……黒宮玲奈、少しお話ししませんか?」と声をかけた。


 黒宮玲奈はこちらを見るや否や、目を細めて。


「あなたは……一体誰ですか?」


 どうやら私のことを知らない……そんなはずがない、だって私はかなりの有名人だから。

 なのに、なぜ優希は私ではなく黒宮玲奈を選んだのか。

 どうせ作ってるだけだ。


「……少し場所を変えて話すとしましょ」

「私はこれから用事なのですけど……」

「へ〜それって何かな?」


 黒宮玲奈はポンと右頬で両手を叩き。


「今から鈴木くんと一緒にお帰るので……」


 ──おかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしい。


 そうだ、多分、優希は黒宮玲奈に催眠をかけられてるんだ。

 だから好きなんだ!

 そういうことだ!


「では……優希を待っている間に少しお話しをしましょ」

「は、はあ……まあ、いいですけど……?」


 優希は黒宮玲奈に操られてるんだ、それ以外あり得るはずがない。

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