第8話その筋の人間

この男とは7年来の友人のつもりであった。

左手の小指がない。昔はその筋の男だ。懲役に12年も務めていた。

だが、話が良く合い楽しく酒を飲んだりしていた。

ある日の事だ、ソイツが母親の前でこんな事を言う。

「お母さん、私、過去に人を殺したり色んな場面に遭遇し色んな人間と出会ったきましたが、息子さんは甘ちゃんの馬鹿です」


は?



「お前よ、大学いったかも知らないけど、悪いけど、中卒の俺より馬鹿だぞ!法学部だっけ?俺は法律の事は何でも知ってる」


僕は黙ってビールを飲んでいた。


「だいたい、馬鹿が小説書くなよ。馬鹿のクセに。俺はIQ130だぞ。俺を見習え!」

「へぇ、頭いいんですね。だけど、懲役に12年いた人間が言う言葉に説得力ないよ!帰ってくれ!」

「まだ、ウイスキーあるじゃん」

「馬鹿と飲みたくないでしょ!帰れ帰れ!」


それれから、一週間が経った頃、僕に

「悪いけど、お金貸してくれない?」

と、言う。

こいつ、馬鹿だ!最低な馬鹿だ!

僕は5千円貸してやった。

翌日から連絡が途絶えた。

7年も付き合ってきたのに、何故アイツはあんな事を言ったのか分からん。

ま、縁が切れたから良かった。そういう世界で生きてきた人間は人の痛みを理解出来ないのであろえう。最後に言う。

馬鹿が!

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