馬男と鹿男
Uは異常な出来事によく出会いやすい。
「色々ありますよ。隣人が殺人事件起こして逮捕されたり、ひき逃げの現場を何回も見たり。でも一番怖かったのはあれだったな〜」
コロナが上陸する少し前の出来事だ。
T駅から自宅に帰る途中、Uは不思議な人物を見た。
黒ずくめの格好で馬と鹿の被り物をしている2人組が、いつも帰り道に通り抜ける小さな公園にいる。
「ハロウィンだったんで、それかと思ってたんですけど」
ベンチに座った2人組がじっとこちらを見てることに気づいた。
どことなく不気味さを感じてUは足早にその場を去ろうとしたところ…
「パッと正面見たら、いるんですよ。2人が!ベンチにいたはずなのに」
驚きと恐怖のあまり絶句したUは固まった。
2人と対峙することしばらく、馬が首を横に振るとそのまま消えた。
Uはしばらくして正気に戻り、全速力で家に帰った。
「帰ってからすぐ彼女に電話したんですよ。そしたら」
それはT市のあの事件じゃないか?と指摘を受けた。
「すっかり忘れてたんですけど数年前のハロウィンに強盗事件があったんです。ほらハロウィンは変な格好していても妙な目で見られないでしょ?」
なので被り物をした男たちが強盗を働こうとしたらしい。
忍び込んだ家の主人に見つかって1人は殺され、もう1人は逃げようとしてトラックに轢かれて亡くなった。
当時、被り物のチョイスが話題になったので彼女も覚えていたらしい。
「あんなところでチマチマと探して見つかるんですかね。しかも自分たちが悪いのに。やっぱ馬鹿っすね」
完
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