キャンプ
空前のキャンプブームだ。
KさんはT市の山麓にあるキャンプ場で寝泊まりすることにハマっている。
「日頃の憂さ晴らしに暇さえあればすぐキャンプ場に行きます」
通いつめる内にあることに気づいた。
「外国人みたいな男性がいるんですよ」
実際に外国人かどうかは不明だったが外見は明らかにそれだった。
「鼻が高くって、ギョロ目でした」
その後、会社が忙しくなってしばらくキャンプにも行けない日が続いた。
ようやく久しぶりにキャンプ場に行くと、いつもの男性がいる。
「夕飯は特製のお肉にしておいたんです。でも一人で食べるのは寂しいな、と」
Kさんは男性に一緒に食べないか声をかけてみた。
彼は嬉しそうにKさんの元にやってきて、酒盛りとなった。
顔見知りとなりよく話すようになったある日。
「登山したいと彼に話したんです」
すると彼はこの山は険しい部分が多いから止めておけ、と言ってきた。
「どうしても行きたいって俺言っちゃって…」
Kさんの熱意に負けて彼も付いてくることになった。
彼は山のベテランで景観スポットなど全て把握しており楽しく登山できたという。
「でも油断しちゃって」
Kさんは岩場から足を踏み外した。
10メートル近い落差があったという。
「もうダメだ、って目を瞑ったんですけど飛んでたんですよ。男の人に抱きかかえられて」
彼は呆然とするKさんにだから気をつけないとダメだと言い、岩場の下までゆっくりと降りていったという。
次の瞬間、突風が吹いて麓のキャンプ場に戻っていた。
それ以来彼を見ることはない。
「お礼言い忘れちゃって」
また天狗様に会えないかな〜とKさんは寂しそうだった。
完
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