第16話 また夏が来た&カリンルカ王国を襲う災厄

それから月日は流れ、年が変わった。

また暑い夏がやって来た。


娘のシャルロットはすくすくと育ち、もうすぐ2歳になる。

娘はとても成長していた。

歩くのもしっかりしてきたし、

話す言葉の種類も大分増えた。


最近は積み木で遊ぶのを楽しんでいる。

他には絵本を読み聞かせたりしている。

一番好きなのは猫が主人公のお話だ。


夫のウラジーミルも最近は娘と遊ぶ機会が増えた。

相変わらず忙しそうにしているが、

なんとか時間を作って遊んでくれている。


娘と遊ぶ時の夫は幸せそうだ。

パパと呼ばれると、とても良い笑顔になる。

そんな光景を見ていると、私も笑顔になれた。




そして今、私達は夕食を食べている。

今日のメインは焼きたてのパンだ。

それは今年取れたばかりの小麦から作られている。


「去年の小麦でのパンよりも、美味しくなってる筈だよ」

と夫は言っていた。

確かに少し美味しくなっている気がした。


でも夫はまだ満足していないみたい。

「来年はもっと美味しくなるように頑張るよ」

とやる気を出していた。


娘には専用のメニューを用意してある。

離乳食と比べるとかなり大人の食事に近づいてきた。

勿論、量は少ないのだけれど。


それを私が食べさせている。

娘は笑顔でそれを頬張っている。

すると娘がこう言った。

「まんま、おいちい」


それを聞いた私は笑顔になった。

この子はとても賢いのかもしれない。

……なんて思うのは、ちょっと親馬鹿っぽいかな?


でも我が子が成長しているのは間違いない。

それを側で見守れるのは、とても嬉しい事だった。




ーーーーーー

一方その頃。

カリンルカ王国は深刻な飢饉に見舞われていた。


それは小麦の病気が原因であった。

病気のせいで小麦の殆どが駄目になってしまったのである。

その結果が深刻な飢饉だ。


勿論この様な事態に備えて食料の備蓄は用意されていた。

それでも全然足りないという状況だった。


それはカリンルカ王国は食料の自給率がとても高かったからだ。

今回はそれが裏目に出る形となってしまった。


周りの国に援助を求めたりもしたが、

余裕が無いと言われて断られた。


ナタリーが嫁いだヴァルイリス王国は援助をしてくれた。

だが少し遠くにあるのでまだ援助物資は届いていない。


その結果民はとても飢えていた。

少なくない数の餓死者も出たという。


そんなカリンルカ王国に更なる危機が迫っていた。

ーーーーーー

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