第9話 小麦の危機と新たな命の誕生
私の妊娠発覚から約半年が経過して夏になった。
お腹の中の子供は順調に育ってくれている。
医者の話によると、あと半月ぐらいで産まれるだろうとの事だ。
だが悪い知らせもある。
それは小麦の事だ。
今年は小麦が病気になってしまったのだ。
色々な種類の小麦を育てていたが、
その殆どが駄目になってしまったという。
でも少しだけ無事な小麦があったらしい。
ウラジーミルは
「その小麦は病気に強い種類なのかもしれない」
と言っていた。
来年はその小麦を更に品種改良したいとの事だ。
私はお腹が大きくなっているので、
今年は小麦作りを殆ど手伝えなかった。
その代わりに私は小麦についての勉強をしていた。
そんな私は20歳になっていた。
ちなみに夫のウラジーミルは2つ年上の22歳だ。
出会ってから2年以上経つが、彼の心は夢見る少年のままだった。
でもそんな彼もあと少しでパパになるのだ。
それから約半月後。
私は無事に出産を終えた。
とても痛かったが
我が子の為だと思えば耐えられた。
産まれたのは元気な女の子だった。
我が子の姿を見て私は自然と笑顔になった。
ウラジーミルも
とても喜んでくれた。
彼の笑顔を見ていると、
私は幸せな気持ちになれた。
私の出産の事はすぐに国中に知れ渡り、
沢山の人達が祝福してくれた。
ウラジーミルの両親のヴァルイリス国王様と王妃様は、
孫が元気に産まれてくれて良かったと大喜びだった。
娘の名前はシャルロットに決まった。
ウラジーミルと話し合って決めたが、
最終的には私の意見が通った形だった。
これからは子育ても頑張らなくてはならない。
でも大勢の人達がサポートしてくれるらしい。
なので普通の母親よりはずっと楽だろう。
シャルロットは元気に私のお乳を飲んでいる。
ちゃんと母乳が出てくれて、私は少し安心した。
娘だけではなく私の健康もしっかり管理しないとね。
私はそう考え、気を引き締め直した。
我が子の誕生から数ヶ月が経ち秋になった。
娘のシャルロットは元気に育っていた。
育児は大変だけれど周りの人達の助けもあって
上手くやれていると思う。
今日は夫のウラジーミルが畑の種まきを見に行くらしい。
私も一緒に行きたいと主張したが、
城でシャルロットの面倒を見ていてくれと言われた。
なので私は城でシャルロットの面倒を見ている。
沢山お乳を飲む活発な子だ。
よく泣く子だけど、赤ちゃんだから当然だよね。
そんなシャルロットは今は眠っている。
その安らかな寝顔を見て私は自然と笑顔になった。
この子が無事に育って欲しい。それが私の一番の願いだ。
ウラジーミルはシャルロットは私に似ていると言っていた。
「きっと将来はナタリーにそっくりな美人になるよ」
なんて言われた時は、凄く恥ずかしかったのを覚えている。
そのウラジーミルは相変わらず小麦の為に頑張っている。
勿論シャルロットの事も可愛がってくれている。
でも彼は忙しいので、育児は主に私と使用人が担当している。
でも私はそれでいいかなと思っていた。
彼には彼のやるべき事があるのだから。
とはいえ、たまには家族三人でゆっくりしたいかな?
私はそんな事を考えながら、シャルロットの寝顔を見つめ続けた。
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