第15話 状況把握



俺は大きく深呼吸をした。



まずは状況を整理しよう。



・和己は魔導院に来た時点で、既に狙われており、リザが襲われたのも恐らくそのせい

・昨日の夜、神を名乗る人物が現れる

・場所は王都の外れの教会。




俺は一度目を閉じ、思考をクリアにした。



まずは現状について考えることにした。



まずは敵の狙いだ。


これは間違いなく俺だ。


だが、どうやって俺の居場所を突き止めたかだ。



俺は教団のことを全く知らなかった。そもそも異世界人のことは秘匿されているはずだ。


一体どこで情報が漏れたというのだ。



考えられる可能性はいくつかある。


1.魔導院の関係者が情報を漏らした

2.どこかのタイミングで異世界人のことを知る者が現れた

3.他の勢力によるリーク

4.教団の能力

5.その他



だが、今ある情報ではどれも決め手に欠けている。エリオンは当然違う。あの男はそんなことをする人間じゃない。



魔導院でもかなりの権力を持っている。敵に簡単に寝返ることもない。……いや、身内を疑うのは止めよう。



恐らく教団、特に神と名乗るまでだから何かしら能力を使ったと考えるべきだろう。つまり、何らかの方法で俺が異世界人であると知った上でコンタクトを取ってきたということだ。



だとすると厄介だ。エリオンは魔導院の中で一番強いといっていた。



だが、それはあくまでも『魔導院の中』の話だ。



正直、俺が勝てる気がしない。



それほどまでに相手の能力は未知数なのだ。それまでに俺が相手を倒せるようにならなくてはいけない。俺が戦力になるためには詠唱魔法と近接武器の入手が必須になる。



どちらも時間がかかるが、今のままでは確実に殺される。そこで明日から詠唱魔法のいくつかを学ぶ予定だ。剣はありがたい事に一級品を国王直々に依頼してもらえるようだ。



相手は『神』を名乗っている。果たしてそれが本当の神なのかはわからない。



だが、その言葉を信じれば、俺はその力の一端を知ることができるかもしれない。




いずれにせよ、やるしかない。



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