第10話 密談

「和巳殿の調子はどうだ」



「そうですね。四級魔導師程度の能力は既にあると思います」



「この短期間でそんなに成長したのか。予想以上だな」



「そうですね。想定以上の伸びだと思います。鑑定板を使って確認しましたが剣術、体術は共にLevel7でした。等の本人は自覚が無いようですが転移時に付与されたようです」



「そうか。それで、実験は一時凍結になったが大丈夫か」



「はい。彼の異世界の知識は非常に有用でしょう。現在聞いているのは現在の技術力で再現出来るもの、例えば三圃式農業と呼ばれるものや黒色火薬など、こちらの国では魔法によって発達しなかった分野を中心に分かる範囲の事を紙に書いて提出してもらっています」



「なるほど。武器の類や医療技術は聞けたか」



「それが意図的に秘匿している模様です。急激な発展は悪影響かどうか悩んでいるようです」



「なかなか理知的な人物よな。今の世界情勢では救国による帝国への進行が懸念されている。救国はこの国以上に差別意識が高い。亜人族を人と見做していないのは、ちとやり過ぎよ。」



「同感です。彼らの特出した能力を評価しないのは頭が少し足りないかと」



会話は進む。



「それでだがやはり情報が漏れているようだ。」



「懸念してましたが、箝口令を引き異世界人だとバレないよう、表向きは別の大陸からの使者ということにしておくのはどうでしょう」



「そうだな。他の上位貴族にも通達しておこう。」



エリオンが退出したあとシルベスター現国王は考える。



エリオンの実験では異世界に干渉し、書籍の類を何冊か手に入れようとする試みだった。



しかし、実際に現れたのは異世界の人ではないか。国の事を考えると新しい知識や価値観を手に入れることで文明の発展の貢献になると思っていたため喜んだ。その反面、間接的であれ一人の人間、そして父親として考えると家族と離れ離れにしてしまった責任を感じていた。



アスタルテ王は、王として長年政治に携わってきて感じていた。良き王になるためには国民の良き理解者であるということだ。その考え方のため大国の長でありながら温和な性格だった。


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作者からのお願い

分かりにくい。矛盾してね?物語が破綻しそう。

と思える無理がありそうな設定がいくつかありますが、布石です。

ちゃんと悪意をもって読者にそう思わせてます。安心してください

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