第8話 魔法基礎

 エリオンによると、すこし前までは魔法属性によって魔法が構成されると考えられていた。魔法属性とは火、水、風、土、光、闇、無属性の7種類あるとされていたらしい。しかし10年ほど前に魔法の概念を覆す研究が発表された。



 それは従来使用されていた魔法は古代語と呼ばれる魔法言語を使っているというものだ。古代語は魔法を7つの系統に大きく分けたものだった。古代語の成立について書かれていた魔導書が見つかったことによりその研究は魔導士界隈で大きな話題になった。



 古代語の優れていた所は今までまとまりの無かった魔法という技術を一つに纏めたことだ。これにより才能によって生まれた魔法の格差が大幅に平坦化され、社会一般に魔法が普及した。



 現代の魔法は様々な科学技術を流用した魔法、新たな概念によって属性に囚われないものが使われている。



 しかしそれは高度な魔法知識を持っている者に限られており、魔物を討伐する冒険者と呼ばれる人種などは未だ魔法属性に囚われていることもある。



 話は戻るがエリオンの指導はまずは基本として属性魔法覚えることを目標にするようだ。。そのため訓練を始める前に、まずは自分が持っている適正を調べることになった。



 調べ方は簡単で、掌を広げてその上に魔力を集め、特定の詠唱をするだけだ。



「魔力は7つの原子と化す。灰を生み、沈ませる。靡き、輝き呑みこむ、我が身の可能背を指し示せ」



 掌では魔力が大きく燃え盛る。火が消え、水の球体が波打ち、暴風により水がかき消される。強い光が生まれ、暗黒に飲み込まれる。暗黒は内側から透明な球体によって破裂し何事もなかったようにすべてが収まる



 エリオンが説明してくれたが俺の場合、全ての属性に高い適正を持っているということだった。しかし二級魔導士以上になると大体すべてに適正を持っているらしい。



 この日、俺が使えることが発覚したのは身体強化、硬化、治癒の三種だけだった。しかし練度も低いため少しだけ筋力が上がり、立てかけた丸太を殴っても痛くない、少しの裂傷がゆっくり治るという地味なものだった。魔力の扱いに対する練度が上がると自然と他の魔法も使えるようになるらしい。




 ちなみに魔道院の中にはオリジナル魔法を四つも五つも同時に発動できる者もいるらしい。マジで怖すぎる…異世界の魔法事情




 そして本格的に訓練が始まった。


 魔力コントロールの練習、魔力変換の訓練、魔法変換による魔法構築など多岐にわたる訓練を行った。



 一週間後、ついに魔力コントロールと魔法変換の基礎を習得することに成功した。それからさらに一週間が経過し、俺の周りに人が集まるようになってきた頃、エリオンから驚くべきことを告げられた。



 それは、俺が既に四級魔導士相当の実力を身につけているというものだった。



 突然のことに驚きを隠せなかったが、考えてみれば当然のことかもしれないと思い直した。なぜなら、俺が今まで学んできたことは魔導院の一級魔導士によって教えられていたのだ


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詠唱魔法の効果式:

(意志の強さ+イメージ力)×消費魔力×属性適正×詠唱の表現力×熟練度



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