第7話 実践魔法学
───1時間後
いや、なんでこんなに難しいんだよ!これだいたい1900年代の現代の科学理論だし、しかも軍事的魔法だからね?軍事機密とか言ってたけどそもそも俺軍人じゃないし、ただの一般転生者ですよ?ライターの使い方さえ知ってれば自分で火炎放射器が自作できると思ってんのか?
ここまで難しいとは思わなかったぞ…
俺が必死に頭の中で悪態をついている間にも講義は進む。正直授業内容は難解だった。だが、問題はその解説だ。エリオンを一言で言うなら天才、それも超がつくほどの天才だと思う。説明を聞いてもさっぱりわからないのだ。なんで水蒸気を一気にプラズマ化させて指向性を持たせて相手にぶつけるんだよ。
一応補足しておくと、俺は前世では理系寄りの文系大学生だった。まあ経済学部なんだが。高校での物理学などの基礎的な知識はあるし、数学の公式なんかもある程度覚えていた。しかし、それとは全く違うベクトルの話になるわけで、流石に一足飛びに理解できるはずもない。結局講義が終わった後はぐったりしてしまった。
俺はもうへとへとだったが、まだ一つ重要な課題が残っている。それは魔素制御の訓練である。
というのも、魔力の制御をするために魔力の感知、収束、循環、放出が基本四要素とされ必須の技術になっている。ということで早速訓練を開始することにした。
何故俺が魔法を使っているのかはこうだ
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
俺「魔法って俺でも使えるんですか?」
エリオン「あ、うん。転移の影響で多分こちらの世界に体が適応したんだと思う。今こうやって話が通じているでしょ?大昔神様がいたとされているんだけど、誰もが困らないように違う言語でも話せるように世界に魔法をかけたとされているんだ」
俺「それがどんな関係があるんですか」
エリオン「魔法が使えない生物。まあ虫とかでいいんだけど、そういう動物は魔法が使えるほどの脳の規格が足りなかったんだよ。つまり脳に余裕のある生物だと言語を扱えるようになるんだよ」
俺「なるほど。よくわからないです。」
エリオン「つまり話が通じる生物は基本的に魔法が使えるってことだよ」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ということで、まずは自分の体の中にある魔力を感じるところから始める。
といっても、これがなかなか難しかった。何しろ魔力というものを感じたことがないのだから当然と言えば当然である。それでもなんとか頑張ってみるものの全く感じ取ることができなかった。
次にどうしたものかと考えた結果、とりあえず瞑想することにした。
目を閉じ、体の中を巡る血液のような感覚をイメージしていく。するとしばらくした後、心臓のあたりから何か熱いものが流れ出ているような気がした。多分これが魔力なのだろうと思いつつさらに集中していくと、次第にその流れを感じ、、、
ってこれエリオンが魔力流してるだろ!!!俺の右肩にエリオンの手が載せられている
それに気がついて目を開けるとそこにはニヤリとした笑みを浮かべるエリオンの姿があった。俺が睨むように見ていることに気づいたのかエリオンは更に口を歪ませた。
この時の俺は生まれて初めて殺意という感情を覚えた。
しかし、そんなことはお構いなしといった様子でエリオンは話し始めた。
曰く、魔力というのは自分の意思によって動かすことができるもので、逆に言えば自分で動かせないということは体内にあるエネルギーを使い果たしているということだそうだ。そして今、俺の体内には膨大な量の魔力があるらしい。そしてその使い方を教えてくれるそうだ。
エリオンの講義だから俺は半ば諦めの境地で聞いていたのだが、その内容は意外にもシンプルなものだった。
まずは体内に流れる魔力の流れを認識する。これは先ほどのお陰で意識することが出来るようになってきた。そしてそれを意識的に動かしていく。最初はゆっくりと、徐々に早く、大きく、強く。最後に手に集めるイメージをしてそこに集めるように命令する。たったこれだけのことだった。
簡単に言うなと思ったが、やってみると本当に単純なことだった。むしろ今まで悩んでいたのは何だったんだと思ってしまうくらいだ。
こうして俺はようやく魔法を発動させることに成功した。
魔法を使えるようになった俺は次なる目標として、簡単な詠唱魔法を覚える為に魔法言語を取得することにした。魔法言語とは文字通り魔法に関する言葉を並べたものであり、これを覚えなければ魔法を使うことはできない。
魔法言語を取得する方法はいたってシンプルで、魔道書を読むだけだ。魔道書は基本的に魔導院に保管されており、初級魔導書を閲覧するには四級魔導士以上の立ち合いが必要だ。ちなみに魔導士の資格は六級まである。
俺は魔法言語取得の為に図書室に向かった。もちろん一級魔導士であるエリオンも一緒である。
魔道書には魔法陣が描かれているものもあるので、それを参考にしながら魔法言語を習得していった。
魔法言語は翻訳が機能しているためそこまで覚えるのは難しくはないが、言葉の組み合わせかた、言い回しが少し難しい。
魔法言語を学ぶ時は暴発しないよう専用の紙とインクを用意する必要がある。
魔法言語の勉強を始めてから数日、俺は魔法言語の初級編を全て習得することができた。これで詠唱魔法を使うことができるようになる。
魔法言語を取得した俺はいよいよ実践魔法の訓練に入った。
魔法言語の取得により、属性魔法が使えるようになった俺にもはや怖いものはない。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
自動翻訳:
この世界では一つの言語を習得した後、他の言語と交流すると自動で翻訳される。
他言語の文章も読むことは出来るが自発的に書くことは出来ない
これは世界の理の一つであり物語において大きな謎でもある
(作者はどういう経緯で作られたか知ってるが)
原理としては翻訳媒体言語が脳にインストールされ、認識が自動で補正されるというものだ
魔法言語:
詠唱魔法を使うための言語。前述の自動翻訳によって学ぶのが容易であり、
習得した場合、認識が自分の言語であっても自動で魔法が発動する。
原理は不明。世界の仕様(作者は原理を知っているが)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます