第3話 能ある者は隠すが使わないと意味がない。

軍が行軍を開始して三日が経った。その中で何度か小戦闘はあったが前ほどではなかった。


そろそろ俺はウスデールに声を掛けなければならない。


が、俺はウスデールの顔を知らなかった。


崖の上からは兜しか見えなかったし、周りの兵に聞いても具体的なことは教えられなく、はぐらかされていた。


遠目に敵の城らしきものが見えてきたときだった。一人の騎兵がこちらに向かってくる。


「行商よ。これを持ち、この先の道を右折し、そのまま3日ほど歩くと小さな町がある。そこに行き安全な暮らしをせよ。ここから先は貴様のような市民が混ざるようなところではないぞ。さあいけ。」


騎兵はそう告げ小袋を渡してきた。中を覗くと銀貨5枚と5日分の食料が入っていた。


「ありがとうございました〜!」


俺は大きい声で軍に挨拶をし、出ていった。


「行商よ!疑って悪かった!我が勝ったら其方が到着するであろう。町に書簡を送る。武運を祈っておるぞ!」


え?まさかあの声、あの騎馬まさかあれがウスデール!?そりゃいくら探してもいないわけだ。

俺は一つの疑問を解消し、少し安堵し町に向かった。


町が見えてくると、異様な静かさに包まれていた。


恐る恐る町に入ろうとすると槍が下から飛び出てきた。門の下には農民らしき人物がこちらを凝視している。


「お前、何しにきた。見たところ敵兵ではないようだが、なぜこのようなところにきた?」

「ウスデールさんにここにいろと言われてきました。一応行商をしていました。」

「ああ、なるほどこれが書文に書いてあった奴か。こっちの家に来い食事を出してやる。」


農民は後ろにいた人を案内役として俺につけてくれた。


最後まで怪しい目では見られていたが。


家に到着するまで不思議と民兵どころか人っ子一人見当たらなかった。


扉を開けると、豪華な食事が用意されており、その一席に俺は案内された。


すると対面の席の老人が喋り始めた。


「将から話は聞いてるよ。十日ぐらいゆっくりしていきな。」

「あ、はいありがとうございます。」


そこの食事は見た目程美味しくなくしょっぱかった。


俺はとある宿に案内された。十日はあの将が建て替えしてくれるそうだが、それから先は自分で払えとのこと。ありがたい話である。


旅の汗を拭こうと貰ったタオルを持って頭に持っていこうとした瞬間だった。


俺の目の前に半透明の文字盤が出てきた。手を突っ込んでみたがどうも物体は干渉できないようで、俺の腕は文字盤をすり抜けいた。


そこには名前、レベル、職業、能力値、スキル等々が表記されていた。


名前佐々木 竜一

レベル10

職業転生者

スキル苦痛耐性lv1、交渉術lv1、詐称技術lv1,偽装術lv3


あまりパッとしない能力だった。神が言っていた無双とはなんだったのだろうか?


あのもう一人の神が関わっているのだろうか?


答えが出ないことを考えても意味がないな。


そんなことを調べていたら、安置確保による安堵から急に眠気が襲ってきた。


我慢も良くないし、今日は一旦眠っときますか。


俺はベットに横になり眠りについた。



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