第2話 時代がどうあれ通用するものがある。金だ。
一面に広がる草むら、寝転がるおっさん、どう見てもミスマッチングな二つがそこにはあった。
解放された気分と現実味のない空間それだけで充分である。
俺は数時間そこにいて一つ気がついたことがあった。
腹が減った。
俺は近くに街道がないか探してみる。
しかし、見渡す限りの草原!草原!草原!
もしかしてと思っていたがこの世界インフラが整ってないんだな。
そんな半分当たり前のようなことを考えると遠くから音が聞こえてきた。
うぉぉぉぉぉ!!!
遠くから熱気と共に声がする。一人ではなく大勢の声が。
無意味に彷徨っているよりは何かあるところにいかなければとそこに強く惹かれていた。
声がどんどん大きくなってくる。
地鳴りが響き渡る。俺はとうとう崖まで来てしまった。声はますます大きくなっていた。
崖を覗いた瞬間に地鳴りが地鳴りではないことに気がついた。
咄嗟に伏せて戦闘を眺めていた。1時間、2時間、3時間そして4時間目に入ろうとしたとき決着がついた。
大将同士の一騎討ちであった。
時間で言うと10分もかかってないだろう。
しかし、数千の将同士といえどさすがは統べる者の殺気は違かった。
俺にとって勝敗はどうでも良かった。その戦闘は食糧以上に俺に闘争心を与えた。
俺はその戦勝ムードでお祭り騒ぎの陣に怪我人を装って入っていった。
「おい。止まれ、貴様何者だ?ってお前傷だらけじゃねえか。とりあえず中入れ、話聞くのはその後だ。おーい衛生兵ちょっときてくれ」
少し怪しまれたがなんとか飯と水にありつけた。
「治療するのはいいけど君軍対象外だからちょっとはもらうよ、銀貨2枚頂戴。」
なんだこいつ怪我人から金を取るのか。こっちはこの国の金は持ってないぞどうしようか。
「すまない。俺は今金を持っていないんだ。このコインじゃダメか?」
俺は10円玉を二、三枚取り出す。
「ん〜見たことないコインだねぇ。これあと5枚頂戴、それでいいよ」
俺は諸々の傷の治療を受けた。それはとても荒々しく強引なものだった。
しかし、自分で傷つけた所を治療してもらうのは変な感じがした。
治療が終わり少しした頃、俺は門番兵に呼び出された。
「で、ここに何しにきた?まさか敵兵の密偵か?」
「いやいやこんな服装の密偵見たことないですよ。密偵てのはもっと身を隠そうと努力した格好してますよ。」
「それもそうか。じゃあこいつ何しにきたんだ?」
どう言い訳しよう、異界から来たなんて伝わるわけないよな。
そうだ。
「行商をしていた所敵兵に捕まってしまいなんとか逃げてきた所です。なので少しのコインぐらいしか持っていないのです。」
門番兵はさっきまで疑っていたのに急に信じ始めた。
行商人が敵兵に捕まることなんてよくあることなんだろうか。
「そうかそうかそれは災難だったな、でももう大丈夫だ。なんせそいつらの大将は俺らの大将ウスデールが首飛ばしたからな。」
大きな口を開け自慢げにガハハと笑い話してきた。
「一応俺からウスデールさんに伝えとくがお前も一言言ってこいよ。よし!じゃあ行ってこい。今宵は宴だぞ」
俺は門番兵から解放され火を囲んでいる兵たちに混ざった。
「本当に離して良かったんですか?ウスデール大将」
「とりあえず、泳がせとく、ボロが出たら黒、出なかったら出すそれだけだ。」
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