Day 3

 お店はあまり目立たない海沿いの小さな道にあった。

 住んでいる人がいない家が多くある人の少ない道だった。

 お店からは海が見えて、絵に描いてある景色によく似ていた。

 海にはいつも人がいなくて、打ち寄せる波と空だけが見えていた。

 私がお店に行くと、その女の人は初めて見る表情で絵を見つめていた。

 その横顔はとてもきれいだった。

 まるであの絵と同じ美しさだと私は思った。

 その横顔に抱く気持ちは初めてのもので、これがなんなのかわからなかった。

 だけど、私はこの気持ちと似たような気持ちを知っていた。

 初めて絵を見つけたときに抱いた気持ちと、その女の人の横顔に抱いた気持ちは同じだと思った。

 私はこの気持ちと横顔について女の人に訊きたかったけれど、訊けなかった。

 それはとてもいけないことのように思えた。

 その女の人の横顔を壊したくなかった。

 私は初めてお店に入らずに家に帰った。

 私は、私は何をしているのだろう、と思った。

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