第6話 特性「極悪非道」
気を取り直して引き続きステータス画面を見る。好感度の欄は???になってるね。これはヒロインに合ってないからかな? 詳しく調べるのは後でいいよね。
・初見です。特性の極悪非道ってなんですか?
『よく来たわね! むちなあなたのために教えてあげるわ。かんしゃしなさい!』
(見に来ていただきありがとうございます! 今から調べますね)
……なんで上から目線なのさ! せっかく見に来てくれたのに偉そうな奴め! って怒られないかな?
・ドロップ様ありがとうございます! 卑しい庶民にご教授お願いします!
ひぇっ。自分の事をそんなに卑下しないで!
『一人では何もできないしょみんになさけをかけるのはとうぜんのことでしょう?』
励まそうとしたのに……。絶対怒ってるよ……。
・ドロップ様ー! 一生ついて行きます!
・↑通報した
あ、そうなるのね。
コメントを見て思わず真顔になる。なに? 視聴者は全員とち狂ってるの? もう無視して特性の確認をしよう。特性欄をタップすれば詳細が確認できるのかな?
―――
特性:極悪非道
口調に補正がかかり全ての人物からの好感度が上がりにくくなる。また、悪事を働くことでカリスマがあがる。悪事を働かなかった場合、カリスマが下がり破滅する。
・カリスマレベル1
悪事(1/10)
―――
なんてマイナスな特性なんだ! 隠しキャラじゃないの!? なんでハンデ背負ってるの!?
・ドロップ様。悪役令嬢は隠しキャラじゃないですよ
『わたくしほどのそんざいがかくしキャラじゃないんですの? しつれな人ね。けんかを売ってるのかしら?』
・そもそも光と影の
・とうとう言ってしまったな
・しっ! ドロップ様気付いてないんだから言っちゃダメ!
え!?
とんでもないコメントが目に入る。あれ? 攻略対象は? 男でも楽しめるんじゃなかったの? そう、お姉ちゃんは僕を騙したんだね? それなら僕にも考えがあるよ?
『レイおねえさま? 後でおぼえておいてくださいね?』
・レイ:ひっ! ぞくぞくっときた! 癖になりそう!
・ご愁傷様
・なむ
・なむ
・もっと危機感持ってもろて
今日はお姉ちゃんだけデザート抜きだね。ふふふふふ。
・悪いことは言わん! 謝れ! 謝るんだレイ! 手遅れになるぞ!
・レイ:ご、ごめんなさい。卑しい卑しいわたくしにお慈悲を……
ふざけた様子で土下座をしてくるお姉ちゃんの様子が脳裏に浮かんで気が抜ける。仕方ないデザート抜きは勘弁してあげよう。
『今回だけですわよ? 次はないと思いなさい』
・レイ:ふっ、チョロいわ!
・チョロインだ
・紛れもないチョロイン
・そんなドロップ様も素敵です!
『う、うるさいわね!』
僕としてはお姉ちゃんに頼った立場だから強く出れないの!
ちょっと顔が赤くなってるのを誤魔化しつつ特性について詳しく確認していく。
悪事を行うことでカリスマがあがる? まずは10回分悪いことをしろってことかな? つまり悪役令嬢としてこのゲームをクリアするとカリスマをあげていく必要があるのか。逆に一度も悪事を行わないとカリスマが下がるの? ……たぶん乙女ゲームってヒロインがざまぁをするのは悪役令嬢の悪事がばれるからだよね? そうなったら没落するよね?
つまり僕はこのゲームの中で悪事をすると最後にばれて
いや、攻略できないゲームはないはずだ。カリスマを一定以上にあげるとヒロインの証言よりも僕の発言の方が信用されるようになったり慕ってくれる人達が庇ってくれたりするのかな?
『今日のあくじが一つカウントされてるわね。あなたたちに心当たりはあるのかしら?』
気になったことを視聴者に聞いてみる。直ぐにコメントで変身が来るね。なになに?
・さっきのおみ足での踏みつけだと思います! もう一度お願いします!
・侍女を怖がらせたことかな? 今度は理不尽に説教すれば?
・いやいや、さっきの地団駄でしょう。なぜなら令嬢らしからぬから!
いやどれかな? コメントを見ても認めたくないけど欲求丸出しの人からしっかり考えてくれている人まで様々だね。一つずつ試してみるしかないかな?
―――
『ふぅ。いい汗かいたわね。少しながしたいわ』
視聴者のコメントを参考にいろいろ試してみたけど残念ながら悪事のカウンターは一つも増えなかった。途中から欲望丸出しの要求もあって恥ずかしい思いを我慢したのに……! 八つ当たりにカメラに向かってパンチをする。もうこれくらいしてもご褒美にしかならないのは分かったよ……。たくさん無茶ぶりしてきたお姉ちゃんはやっぱりゆるさない。
十回じゃなくて十種類じゃないといけないのか。それとも
・はぁはぁ。胸がどきどきする。これが……恋?
・卑しいこの豚にもう一度ご褒美を!
・ありがとうございますありがとうございますありがとうございます!
酷すぎてむしろ見慣れてきたコメントを無視して手元の鈴をならす。直後に侍女が扉をノックする。
「失礼いたします」
『入りなさい。体をふいてくださる?』
「よ、よろしいので?」
『あなたの仕事でしょう? それともひまを出されたいの?』
「い、いえ、滅相もございません。それでは失礼いたします」
・神回 確 定!
・ご令嬢のお風呂が見れると聞いて
・↑通報しました
・俺が
・↑最後まで目に焼き付けたいだけ定期
・な、ななな何言ってるんだ馬鹿野郎! そ、そそそんなわけないだろう?
・動揺し過ぎで草
そっとカメラの設定をオフにする。これでラメリアの体は見られない。YuuTubeの設定からして元々見られないはずだけど念のためだね。それにアバターの体だとは言え見られる可能性があるのは気持ち悪いかな。幼女の体に興奮するんじゃないよ!
・なんてご無体な
・レイ:私は後で見せてもらうから気にしないぜ!
・ギルティ
・レイを燃やせ!
・炎レイ炎
・炎レイ炎
・炎レイ炎
・レイ:やめろお前ら! バンするぞ!
『いつまでふざけるおつもりかしら?』
・ひえっ
・レイ:ひえっ
・ひえっ
・ひえっ
「も、申し訳ございません! 丁寧にやりますので! どうか首にだけは……」
侍女がかわいそうになるほど震えている。侍女に向かって言ったわけじゃないのに……。
『あなたはおばかさんなのかしら? あなたをクビにしたら次の人がそだつまでだれが私のお世話をするのよ。むだなことを考えてないで手を動かしなさい』
「!? は、はい! 全力を賭して働かさせていただきます!」
一瞬驚いた表情をした侍女はうっすらと涙を流しつつ丁寧に体を拭いてくれた。言葉がきつかったよね。ごめんね?
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