第25話

「えーっと……紹介します。うちの美人さん、ソナタちゃんです」


美女のソナタちゃんっ!?

ヤバい、マジで美女!

超絶美少女!

なのに……。


「……ソナタです……ってか琢斗、説明求む……」

「え〜、めんどくせぇ……」


何で普通に話ししてるのっ!?

しかも心の底から面倒くさそうだしっ!


「で、こちらがクラスメイトの東雲茜さんと……あ、スミマセン、お姉さんの名前をお伺いしてませんでしたね……」


はっ!?

お、お姉さん扱いされて喜んでたら、名前言う機会無かったのよーっ!

でもここで普通に挨拶してたら負けちゃう!

我が家の有望株を諦める訳にはいかないのよ!


「東雲茜です! よ、よろしくおねがいします!」


茜ちゃんなりに危機感持ったのかしら!?

頑張ったわね!

あとで褒めてあげる!

でもそれじゃ足りないのよ!

もっと仲良しぶりをアピールしなければ!

ここは攻めの一手よっ!

何かネタは……えーっと、えーっと……あ、これだわっ!


「はい、改めまして自己紹介を! 東雲真由美、17歳です! おいおい!」

「ここで違うお姉ちゃんのネタぶっ込んでくるなよ!」


拾ってくれたーっ!

琢斗くんアリガトーッ!


「……琢斗……どうしてそんなに仲が良いの? やっぱり浮気?」

「お前はまず思考を手放すな。何故そんな結論になる? あと姉弟で浮気もへったくれもねーよ」

「……琢斗と私、血は繋がってない。普段からラブラブ。でも琢斗の隣に美人が二人。浮気確定。証明終了」

「なんの証明にもなっとらんわ!」


やっぱりだーっ!

ソナタちゃんぞっこんラブじゃないのよーっ!

それなのに気にする事無く簡単に突っ込むとか普通じゃないわーっ!

ホントに琢斗くんって何者ーっ!?


「で、運ぶのはいいとして……東雲さん、この後予定ある?」

「は、はいっ! 教習所の予約はありますけどっ! それは夜なのでっ!」


茜ちゃん慌て過ぎ!

予約は確か19:30だったかしら!?

まだ4時間ちょとあるから、余裕はあるわね!

でも余裕!?

あるかしら!?


「真由美さんは?」


え?

わ、私っ!


「はへっ? あ、私も大丈夫よ?」


このあとの予定は、それこそ茜ちゃんを教習所に送っていくだけだから大丈夫だけど……。


「んじゃ、ハスラーでついてきてもらえます? TT−Rに関してのこれからの話も詰めておきたいですし、KSRの方もエンジン掛かっただけで整備はまだ必要だから、その辺の話もしたいしね」


確かに、話は詰めなきゃいけないわよね……お金の件も含めて。


「わ、分かりましたっ!」


茜ちゃんも分かってるみたいね!

ソナタちゃんが強敵だって!

私だって茜ちゃんの母として簡単に白旗上げる気はないわよっ!?


「そ、それじゃすぐ準備してくるから、待っててね琢斗くんっ! ほら、茜ちゃんも早くっ!」

「は、はいっ!」


普段勝負服なんて全く着る機会無いけど、茜ちゃんを極上美少女に仕上げるわよっ!

オマケで私もっ!

ってか、オマケとか言うな!

あ、言ってるの私か……。



------------------------------


凄い美女さんはソナタさんと言うそうです!

名前まで素敵です!

クールビューティーです!

なのに!


「……琢斗……どうしてそんなに仲が良いの? やっぱり浮気?」

「お前はまず思考を手放すな。何故そんな結論になる? あと姉弟で浮気もへったくれもねーよ」

「……琢斗と私、血は繋がってない。普段からラブラブ。でも琢斗の隣に美人が二人。浮気確定。証明終了」

「なんの証明にもなっとらんわ!」


琢斗くんLOVEでした!

どっどどっど、どうしましょう!?

何をどうするというのですか、私はっ!?

しかも琢斗くんは美女だろうと普通に突っ込んでます!

凄いです!

良く分からないですけれど、とにかくスゴイです!

仲が良いのも素晴らしいと思います!

でも仲良しぶりが何だかモヤモヤします!


「……むむぅ……」


モヤモヤします!

するんですーっ!

何故なのかか分かりませんけどーっ!


「で、運ぶのはいいとして……東雲さん、この後予定ある?」


えっ!?

わ、私ですかっ!?


「は、はいっ! 教習所の予約はありますけどっ! それは夜なのでっ!」


場合によってはキャンセルも辞さない所存です!?

何故疑問形!?


「真由美さんは?」

「はへっ? あ、私も大丈夫よ?」


お母さんも慌ててます!

でも気持ちはよく分かります!

まだ日本のアイドルさんに会う方が落ち着ける気がします!

だって!

美しさがワールドワイド過ぎるんです!


「んじゃ、ハスラーでついてきてもらえます? TT−Rに関してのこれからの話も詰めておきたいですし、KSRの方もエンジン掛かっただけで整備はまだ必要だから、その辺の話もしたいしね」

「わ、分かりましたっ!」


運転するのは私じゃないですけど!

お母さんですけど!


「そ、それじゃすぐ準備してくるから、待っててね琢斗くんっ! ほら、茜ちゃんも早くっ!」

「は、はいっ!」


お母さんに連れられて、階段を登ります。

その途中で。


「茜ちゃん……ここがホントの分水嶺よ!?」

「なっ、なんで!?」


上手く言葉が出てきません!

でも、何で分水嶺なんですか!?

意味が分かりません!


「ソナタちゃんは琢斗くんにぞっこんラブ……それは分かってるわよね!?」

「!?」


こ、答えたくありません!

何故かは分かりませんが!


「このままじゃ茜は負けるわ!」

「そ、そんなことありません!」


何故反論したのか分かりませんけど!

ま、負けないですもん!


「そうよ! 負けないのよ! 負けられない戦いなのよっ! だから、これから茜ちゃんを超絶美少女に仕上げるわ! 時間との勝負よ!」

「わ、分かりました!」


何の勝負なのか分かりませんけど!

でも負けません!

分かりませんけど!

分かりませんけどーっ!

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