第14話羽柴戦序章、アメリカ編ロイ
♢
アメリカ人シェフ
【
「キャハハハハハ」
子供たちの笑い声が響く。
ロウアーマンハッタンにあるストーン・ストリートは、夏になるとテラス席がたくさん出され、路上はとても賑やかになり仕事帰りのビジネスマンがちょっと一杯飲みに来る。
ロイは店休日になるとよくここでバーガーを食べて気分をリフレッシュしているのだ。
今は冬だからもちろんテラスはなりをひそめているが、夏は暖かく快適で、テラスで飲むクラフトビールは最高に美味しい。
通り全体が一つのテラス席のようなイメージだ。
今日は
大好きな
メインキャストと名もないコーラスとを隔てるために引かれた一本の白い線……それは俺達が料理の世界に飛び込んだ時にシェフとの間に明確にひかれていたあの線と同じだ。自分達でいくら店を構えても俺たちは常に挑戦者だ。
守るものなんか何もない。
「キース飲み物決めたのかい?」
「今選んでいる」
「観劇しながら飲む飲み物じゃなくて……」
「あー……お前次第なんだけど ロイ」
「こっちはジューイッシュ・ビーフシチューだよ。あんずのいいのが入ったし、じっくりオーブンで低温乾燥したから甘みも凝縮している」
「デイツももしかしたら食べた事がないかもしれないだろ」
「まさか肉は安い肉で作るのか?」
キースはジューイッシュには反対らしく今一良い反応をもらえない。
「まさかー安い肉なんか使うわけがないだろう。生でも食えるくらいの極上の牛肉を、しかもそれをとことん煮込んで作るさ」
それなら色味に緑を飾ろうということになった。
もとはユダヤ教の食べ物で戒律による食の規制があるために使えない食材も多く、アルコールも難しいが、羽柴幸一はユダヤ教ではないし世界大会を開催するくらいなんだから美食家に違いない。
「ワインは最高のビンテージで攻めるからパンチで負けないものにしてくれよ!」
「任せとけ」
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