第11話羽柴戦開幕 序章
【TRATTORIA ALLORO】にて
「寒いな」
涼は肩を擦りながら、花壇の花がらを摘み、白い息を吐き出した。
我ながらがらじゃない事をしていると自覚はある。久々の大会に若干緊張していないかと言えば嘘になるし、かといって別に臆している訳じゃない。
外を見上げるとチラチラと雪が舞っている。今の季節は入り口に続く石畳の脇にクリスマスローズが咲いていて、花の好きな悠が特に気に入って育てている。
秋から冬にかけては食材も好きなものが増えるし、ジビエをメニューに足し始めたからワイン選びも、お客様自身で楽しんで選んでいる感じがしてやはり好きな季節だ。
「悠」
俺は悠に声をかけた。
「ん?なんだ。花がらなんて摘んで嵐でも来たらどうするんだ(笑)もうすぐ営業時間だぞ。仕込みは完璧なのか?」
入り口を掃きながら、悠も雪が降り始めた空を見上げて言った。
涼はそんなことは言われるまでもないという顔をして
「つーかお前いつまであのピアノ置いておくつもりだよ」
と言葉をつなげた。
「気にするなよ。たまに調律がわりに弾いているだろ。必要になるんだ。必ず」
悠はクスッと笑うとそんなことより後二
この一風変わったお題の出し方はいろんな波紋を呼んだ。
羽柴戦の羽柴はあの羽柴家だということまでは誰でもたどり着けるものの世界を飛び回る羽柴幸一が望むシチューにまで大手をかけた人はいなかった。
その頃各国の腕利きのシェフ達は自らの最高を構築していた。
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