もちろん嫌な事はあったけど、可愛い女性とイチャイチャしたり、ちょっぴりエッチな生活を送って、ハッピーエンドを迎えられたので、幸せ一杯です! (短編集)
学園祭で幼馴染に告白したけど、空気読めと、こっ酷く振られてしまった。だけど美人な後輩に声を掛けられ一緒に遊べたので幸せです。後日、彼女は学園1のアイドルだと知りました。
学園祭で幼馴染に告白したけど、空気読めと、こっ酷く振られてしまった。だけど美人な後輩に声を掛けられ一緒に遊べたので幸せです。後日、彼女は学園1のアイドルだと知りました。
俺は学園祭の恋愛イベントの一つ、ステージの上で告白するイベントに参加するため、ステージ裏で待機していた。
次は俺の番だ。あぁ……超緊張する。陰キャの俺にとって、人前で告白するなんて、普段じゃ絶対あり得ない事……でも
──司会の男の子がカップル成立を告げると、観客席の方から歓声が上がり、大きな拍手が聞こえてくる。二人は嬉しそうにこちらに向かって歩いて来ていた。
二人は何も悪くないが、ちくしょう、ハードル上げやがって……と思いながら、俺はステージに向かって歩き出した。
「続いては
俺は司会者からマイクを受け取り、左手に持って絵里と向き合うようステージ中央に立った。絵里は、俺から目を逸らすように俯いていた。
去年は良いなぁ……私もあそこに立って、告白されたいなぁ……なんて言っていたけど、恥ずかしいんだな。さっさと終わらせてあげないと。
俺は固唾を飲み込み「えっと……絵里とは小学校の頃から一緒で、高校に上がってからも一緒になれて……ずっと君を見ていました。お付き合いしてください」と告白して右手を差し出す。
「えっと──」
絵里はそう声を漏らすが、動かない。何だか嫌な予感がするけど、見守るしかなかった。
「まだ自分の気持ちが分からないの。もう少し時間を貰えないかな?」
「──分かった」
俺はそう返事をして手を下ろす。司会者が近づいてきたので、とりあえずマイクを渡した。
「これは……振られてはいないので、どちらとも言えないですね。俊二君、絵里さん、ありがとうございました」
俺は黙ったままペコリと頭を下げると、ステージ裏へと歩き出す──正直、絵里とは仲が良かったし、こんな結末になるとは思っていなかった。俺は……これから、どんな顔して絵里に会えばいいのだろうか?
※※※
数分後、絵里からメールが届き、俺は体育館裏へと向かった──俺が到着すると、絵里は俺を睨め付けるかのように、怖い表情をして「ちょっと俊二、何よあれッ!!」と怒鳴った。
「なによあれって……前に絵里が出てみたいって言ってたから、喜ぶと思って」
「──それは言ったけど……あ~もう最悪! 空気を読みなさいよッ!! あのイベント、告白される側は内緒で当日にいきなり言われるから、ハッキリ言って断り辛いのよ!!」
「え……じゃあ……」
絵里は俺から視線を逸らすと「あの時はあぁ言ったけど、俊二のことは友達としかみられない。ごめんなさい」と、言って、俺を置いて歩いて行ってしまった。
俺は何も言えないまま、その場に立ち尽くす。振られる可能性も考えていたけど……思った以上に、堪えてしまった。
──しばらく体育館の壁に背中を預け、項垂れながら座っていると「先輩! 探しましたよ」と可愛い女の子の声が聞こえてくる。
顔を上げ、声の方に顔を向けると、そこには中学の時に委員会が一緒だった大橋 咲枝ちゃん《さきえ》が、後ろで手を組み立っていた。
「探した?」
「えぇ」
咲枝ちゃんは俺の横に来て、ちょこんと座ると茶髪のセミロングの髪を耳に掛け、ニコッと微笑んだ。
「一緒に学園祭をみて回ろうと思って」
「そう……でも、ごめん。俺、いまそんな気分じゃないんだ」
「え~……」と、咲枝ちゃんは言いながら、俺の腕を両手でガシッと掴むと「年に1度の学園祭なんだから、そんなことを言わずに回りましょうよ」と揺さぶる。
小さい体で必死に揺らす咲枝ちゃんが何とも可愛らしい。それに顔も可愛くて、アイドルグループに居てもおかしくはないと俺は思っている。
前からボディタッチが多い子だとは思っていたけど……こんな可愛い女の子にそんなことされたら気持ちが高ぶって「──しゃーない。じゃあ、行こうか」という気持ちになってしまっても仕方ない。
咲枝ちゃんは手を離すと両手で小さくガッツポーズをして「よし!」と言って、立ち上がった。仕草まで可愛いんだから、敵わないよな。俺はそう思いながら立ち上がる。
「それで、どこから行くの?」
「時間があるから上から回りましょう!」
「了解」
★★★★★
こうして俺達は最上から見て回り、下の階へと下りていく。気晴らしに校庭に出てみるかと外に出た瞬間、嫌な奴に出くわしてしまった。
「あ! ちょっと俊二! 何であんた女の子と歩いているのよ!?」
「何でって……別に構わないだろ?」
絵里は怒ったようで強張った表情を浮かべ「私が好きって言っておいて、よくもまぁ……」と言って俺に向かって腕を伸ばす──が、咲枝ちゃんが前に出て払いのける。
「ちょ、なに!?」
「先輩こそ! 俊二先輩を振っておいて、焼餅焼いて私から引き離そうとするなんて、よくもまぁ……ですよ!」
咲枝ちゃんの行動と振られたことを知っていることに驚いて、声が出ない。
「もう後戻りは出来ないんですから、先輩はこれ以上、俊二先輩にあれこれ言わないでください!」
咲枝ちゃんはそう言って、俺の腕をギュッと握ってくれる──絵里はぐぅの音も出ない様で、悔しそうな顔をして行ってしまった。俺はそれを見送った後、「──ねぇ、咲枝ちゃん」と声を掛ける。
「ん? なに先輩?」
「えっと……もしかして俺が振られるところ見ていた?」
咲枝ちゃんは視線を逸らし俯くと、小さく「う、うん」と答えた。
「やっぱり……」
「ごめんなさい」
「いや、大丈夫。ただ──恥ずかしい所を見られてしまったなぁ……って」
俺がそう言って自分の髪を撫でると、咲枝ちゃんはパッと腕から手を離す。そして俺の前に立つとブンブンと大きく首を横に振った。
「そんなこと無いです! ステージにあがって告白してる先輩をみて、わたし超かっこいいと思いました!」
咲枝ちゃんは円らの瞳で俺を見つめ、俺の手を優しく握る。
「私にはそんな勇気ないから、どんな想いで先輩が告白しているかヒシヒシと伝わってきて、素敵だなぁ……って思いましたよ。私……そんなところがス──」
「ス?」と、俺が聞き返すと、咲枝ちゃんは慌てた様子で首を横に振る。そしてニコッと微笑むと「ごめんなさい。話の続きはまた今度にします」
「そう、分かった」
「それより先輩、次はどこに行きましょうか?」
「そうだな──」
それから俺達は見ていない教室を見て回り夜まで過ごした──夜はキャンプファイヤーが灯る中、フォークダンスをして楽しんだ。絵里には振られてしまったけど、咲枝ちゃんのおかげで充実した一日となった。
※※※
次の日の朝。通学路の並木道を歩いていると友達の小林君が、後ろから「おはよう」と挨拶をしてくれる。俺は横に並んだタイミングで「おはよう」と返した。
小林君はなぜかニヤニヤしながら俺の腕を軽くグーパンチしてくる。
「どうしたの?」
「どうしたの? じゃねぇよ。俊二、昨日の学園祭、咲枝ちゃんと回ったんだって?」
「うん」
「学園1、美人な女の子とやるじゃねぇか」
「え!?」
そりゃ……可愛いから人気なのは分かるけど学園1?
「学園1ってどういう事?」
「お前、告白イベントの後にやってたミスコンの結果を見てなかったのか?」
「うん……ちょっとね」
「そっかぁ、咲枝ちゃんダントツ1位だったんだよ」
「マジ!?」
「うん、マジ」
「そうだったんだ……」
俺がそう返事をすると携帯が鳴る──俺はズボンから携帯を取り出すと着信画面を確認した。
「お、もしかして咲枝ちゃんか?」
「うん、そう」
「じゃあ邪魔しちゃ悪いな。先に行ってる」
「ありがとう」と俺は返事をして、「──はい」と、歩きながら電話に出る。
すると「あ! 先輩、おはようございます! いま大丈夫ですか!?」と朝から元気な咲枝ちゃんの声が聞こえてきた。
「うん、大丈夫」
「良かった。昨日はありがとうございます!」
「いえいえ。こちらこそ、ありがとう」
「実は昨日、先輩に伝え忘れていたことがあって。先輩、告白なんてするんじゃなかったとか、無駄だったなんて、思わないでくださいね」
どういう事だ? と俺は思い、邪魔にならない様に端に寄りながら立ち止まった。
「私……先輩が告白イベントに参加するって噂で聞いたから、ミスコンに出られたし、前に進めて先輩を誘えたんです! だから──」
俺は黙って後ろを振り返る。咲枝ちゃんは不安そうな表情で携帯を持ちながら、俺の正面に立っていた。俺は携帯をズボンにしまうと、咲枝ちゃんに近づく。
「そんなこと思ってないよ。俺、咲枝ちゃんと学園祭を回れて凄く楽しかった。また今度、一緒に回ろうね」
俺がそう言うと、咲枝ちゃんは可愛らしい笑顔で「はい!」と元気よく返事をしてくれた。
告白したばかりだから、直ぐには無理だろうけど、いずれ……今度は咲枝ちゃんと一緒にステージに立てたら……そう思いながら、大きく背伸びをして、ゆっくり歩き出す。
「行こうか?」
「はい!」
咲枝ちゃんは駆けてくると俺の横に並ぶ。遠慮がちに俺の腕の裾をキュッと握っている姿がとても可愛かった。本当……勇気を振り絞って告白して、良かった。
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