もちろん嫌な事はあったけど、可愛い女性とイチャイチャしたり、ちょっぴりエッチな生活を送って、ハッピーエンドを迎えられたので、幸せ一杯です! (短編集)
体系を馬鹿にされて、人生を終わらせようと考えていたら、評判の良い美女転校生が勿体ないなぁと言ってきた。そんな優しい彼女のおかげで、俺は頑張って変わることが出来ました!
体系を馬鹿にされて、人生を終わらせようと考えていたら、評判の良い美女転校生が勿体ないなぁと言ってきた。そんな優しい彼女のおかげで、俺は頑張って変わることが出来ました!
俺と早織さんは買い物を済ませ、ファミレスで食事をすると家に帰った──俺は疲れもあり、直ぐにベッドに横になり、天井を見据えた。
本当は目標の20キロ減は達成している。だけど今の関係を終わらせたくなくて、早織さんに告げるのをズルズルと先延ばしにしていた。
きっと彼女は気付いているかもしれない。いや、これだけ変わったんだ。きっと気づいていて、知らないふりをしてくれているのだろう。
「このままで良いのかな……」
いや……彼女の気持ちを踏みにじるようで、良くないだろ。痩せた事だけでも……ちゃんと伝えなくちゃ。
俺はそう思ってズボンから携帯を取り出すと、明日の放課後、話したいことがあると早織さんにメールをした。
※※※
次の日の放課後。俺はいつも早織さんとウォーキングしている公園へと向かった──到着すると、まだ早織さんは来ていなかったので、とりあえずベンチに座った。
この時間帯でも、人はチラホラと通っていく。だけど、すぐに居なくなるのでそんなには気にならなかった。
「お待たせ……」と、いつも元気な早織さんが不安げに眉を顰め、近づいてくる。
「大丈夫だよ」
「えっと……話って何かな?」
「とりあえず座って」
「うん」
早織さんは返事をして俺の横に座る。俺は緊張して汗が噴き出ている手を必死でズボンで拭い「あのさ……」と切り出した。
だけど、その先がなかなか出て行かない。それでも俺は勇気を振り絞り「えっと……話したいことだけど、俺……もう目標を達成していた」と、打ち明けた。
続けて「──それなのに、言わなくてごめん! 早織さんと過ごす毎日が楽しくて、終わらせたくなかったんだ」
早織さんは沈黙を挟み、こちらに顔を向けると「ごめん、私もそうだったの。だから正直に話してくれて、すごく嬉しいよ」と、笑顔で言ってくれた。
でも何かが引っ掛かる。笑顔だけど、どことなく陰があるように感じた。
「えっと……話はこれだけかな?」
「──うん」
「そう……」と、早織さんは素っ気なく返事をして立ち上がる。
本当はまだ伝えたいことが残っている。でもこれを告げてしまえば本当に今の関係が途切れてしまうかもしれない。だけど今、言わなければ後悔する気がする──逃げるな……逃げるなッ! 俺は歩き始めた早織さんを急いで追いかけ、手を掴んだ。
「きゃ」と早織さんはビックリしたのか悲鳴を上げる。俺は慌てて手を離し「ごめん」と謝った。
「あ、ビックリしただけだから大丈夫。それよりどうしたの?」
「まだ伝えたい事があった。もう少し、良いかな?」
「うん、もちろん」
「良かった。じゃあ、とりあえず座ろうか?」
「そうね」
俺達はベンチに戻り、また座る。戻ったは良いが、どうにかなってしまうんじゃないかと思うぐらい心臓の高鳴りが止まらない。でも、言わなきゃ! 頑張れ、俺ッ!
「俺……目標は達成できたけど、君との関係を終わらせたくない。俺、君が引き留めてくれたあの日からずっと、君の事が好きだったんだ。だから……恋人前提に付き合ってください!」
早織さんは一瞬、目を丸くして驚くが直ぐに笑う……笑う……とにかく笑う。そんなに笑わんでもというぐらい笑う。ちょっとムッとしたけど、とにかく笑顔が可愛いから許す!
「何がそんなに可笑しいのさ?」
「ごめん、ごめん。結婚前提は聞いたことあるけど、恋人前提ってあるの? と思ったら、笑いが止まらなくて」
「聞いたことないけどさ、そう言った意味があるんだよ」
「へぇ……どんな?」
「痩せるという目標が無くなったから、恋人になれるって目標があれば今の関係を続けられるじゃないか」
早織さんはニヤッとすると「なるほどねぇ……」と、言って俺を見つめる。そして「別に前提、じゃなくて良いのに」と、後半をボソッと言ったが、確かに前提じゃなくて良いと言ってくれた。
「えっと……それって、恋人からで良いってこと?」
早織さんは恥ずかしいのか、しきりに髪を撫でると黙って頷いた。
「ありがとう!」
「別に御礼を言われる事じゃないよ」
早織さんは急に表情を曇らせ俯くと、手を下ろす。
「実はさ……健太君を引き留めたあの日。私、健太君がその……悪口を言われているのを聞いていたの」
「え……そうだったの?」
「うん。でも、やめなよってその場で言えなくて。あなたの事が心配だったから後を付けていたんだ」
「そうだったんだね」
「その時は正直に言うと、同情だった。でもね──」
早織さんはそう言って顔をあげ、俺を見つめると、俺の手にソッと自分の手を重ねた。
「あなたと関わっていくうちに段々と好きになっていたの。だから……あなたが告白してくれて、とても嬉しいよ。これからも宜しくね」
あぁ……そういう事か。暗い顔をするから、どうしたのかと思った。安心したら急に愛おしい気持ちが溢れてくる。
俺は重ねてきた早織さんの手を握り締め「うん、よろしくね」と返事をした。早織さんはそれを聞いて、幸せそうに「ふふふ」と微笑んだ。
「そろそろ帰ろうか?」
「うん」
俺達は手を握ったまま立ち上がり、並んで歩き始めた──。
「早織さん。俺、痩せたけど、結局イケメンになれなくてごめんな」
「何を言ってるの。あなたは私から見ると、十分にイケメンです!」
「ありがとう、嬉しいよ」
そこで会話が途切れるが、幸せな気持ちは全く色褪せない──。
「ねぇ、健太」
「なに?」
「私がリバウンドしても、見捨てないでね」
「見捨てる訳ないだろ? 今度は俺が、君のサポートをするよ」
「うん!」
夕焼けに染まる公園を歩き、俺達は笑顔を絶やさぬまま帰宅した。
※※※
次の日の朝、俺は早織と一緒に登校した。廊下を歩いていると向かいから、俺を馬鹿にしてきた男のクラスメイトが歩いてくる。俺は歩く速さを調整して、早織と手を繋いだ。
へへーん! お前が気になるって言ってた女子は俺の彼女なんだぜ!!
クラスメイトは俺に気付いたようで、ムッとした表情を浮かべるが、何も無かったかのように歩き続ける。
「健太、止まって少し屈んで」
「ん?」
俺は言われた通り足を止め、屈む──すると早織は、ほっぺにキスをしてくれた。クラスメイトは明らかに嫌そうな表情を浮かべ通り過ぎていった。
驚きのあまり言葉を詰まらせ、早織を見つめていると、早織はニコッと笑い「これぐらいしないと、ざまぁみろッ! って思わないでしょ?」
「あ、うん……ありがとう」
「どう致しまして!」
俺達が付き合っていることは、簡単に周りに伝わっていった。何であんな冴えない奴と付き合ってんだ? とか、陰口が聞こえたりしたけど、それはそれだけ彼女が色々な人に好かれている証拠だし、そんな彼女と付き合えているんだぞ! ドヤッ! って気持ちで誇らしかった。
それに俺達は今までの出来事のおかげで、誰よりも固く結ばれていると思っているから、誰になんと言われようとも平気だ。
俺は……そんな自信をくれた早織の事が大好きだ。ずっとずっと……彼女を大切にしたいと思う。
俺は教室の窓から、風に揺れる木々を見つめ、そう思った。
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