手記(4月1日)

@TOHDOYU-0804

もうどうでもよくなった。

君のLINEの通知もオフにして、トーク履歴を非表示にして、LINEもアプリをまとめた所のスクロールの1番後ろに置いて、出来るだけ見ないようにしていた。

でも不意に予測変換に出てきた君との愛称がドスッと胸を刺した。すごく痛かった。

ハイライトのメンソールに火をつけて、

心から溢れてしまいそうな何かを全部、飲み込んだ。押さえつけた。

白い柄が燃えて無くなっていくのと、ともに少しずつ気持ちが和らいでいく。

窓から差し込んだ街灯に照らされたパステルカラーの桃色のネイルは少し剥げかけていて、そろそろ落とそうと思った。

外は生暖かい空気で充満していて、花びらだらけで、幸せとか新しい出会いとか喜びとかを象徴してるようで、もう全部気持ち悪かった。

でも私はこれから全部、少しずつ忘れるんだ。

忘れていくんだ。

悲しいなんて思わないように、清々するって思おう。

暗い部屋に液晶が点る。

閃光のように眩くて目を伏せた。

Gmailの通知、一瞬、瞳を輝かせた自分にため息がドロっとこぼれる。

初めて会った時はなんとも思わなかった。

同じ学科で同じサークルで同じ音楽が好きで、ギターに夢中になっている時、君は普段よりもすごく輝いていて、かっこよく見えた。

君はすごく誠実だった。だから私がどんどん、どんどん疑り深くなっていって、でもやっぱりどこまでいっても君は誠実だった。

好きにならないわけがなかった。

君は嘘をつかなかった。私の前では強がった。励ましてくれた。

でもたまにお酒を飲んで私にだけ、弱音を吐いた。

すごく可愛かった、すごくかっこよかった。

ずっと一緒にいたかった。

でも時間が積み重なっていくとともにどんどん苦しくなっていった。

なんで私はあなたの1番じゃないんだろう。

なんで私はあなたの特等席に居られないんだろう。

いつか君の傷が癒えて、私と一緒にいてくれるって思ってた。

グループのトーク履歴から君のトーク履歴に飛んだ。

今日は絶対に言う。

ただの1行をワンフリック、ゆっくりゆっくり打って何度も見返した。

息を止める。

数秒後、新しいトーク履歴にメッセージが表示される。

「なあなあ聞いて!! 彼氏出来た!!笑笑」

強がった。もうどうでもいい。

今までの全部を「普通」に戻すだけなんだ。

私はTETORAの「素直」を嗚咽混じりに口ずさんだ。

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