第15話の4
事務所に戻って、美紗から詳しく話を訊く。
父親の引き出しに14年前の写真を見つけて、それを写真に撮った。前後上下左右
の方向から撮られている。遺体だけに芸術性は感じられない。
美紗がばらばらっと写真をテーブルに置く。
「これもしかしたら今回以外にも、過冷却水使った殺人やってたんじゃないか?」
確かに、そうとしか思えない。人数を数えると4人になる。
「つまり、今回と14年前以外に、4人も殺害しているって事だな。警部に情報を提供するとして、他に何か有りそうだな?」
一枚の紙を一心に差し出す。
娘は父親の所業を知って、自首を勧めてたんだ。父親は拒絶するので警察に通報する気だったらしい。
「これが、殺害動機か?」
「そうじゃない、それとその先に書いてあるけど・・」
「ん、何?・・殺されるかもしれなって、感じてる。それで、冷凍倉庫に音声感知式の盗聴器を仕掛けたって書いてある。」
「そうだ、美術館の隠れた所にある冷凍庫にそれが有るんだ。殺害の証拠だ!すぐ、行こう!一心!」
「待て、急がなくても奴は今探していない。盗聴器がある事に気付いて無いんだ。明日、警部に報告して、一緒に乗り込むんだ」
「見つかったらどうすんのよ。折角の証拠消されるぜ」
「美紗、落ち着け大丈夫だ。明日で大丈夫だ」
「分かったよ」
「後は、何か無いのか?」
「後は日記をパソコンで書いてる。川の事件の時に悩んだこと、父親が殺人鬼だと気付いたこと、自首を勧めたが断られたこと、悩んで、警察に通報しようと決心したこと、父親に殺されるかもしれないと思ったこと、盗聴器を仕掛けたこと。ここで日記は終わってるんだ。去年の6月2日付けだ。殺害は3日という事になる。警察の死亡推定日時に合致する。可哀想に実の父親に、生きてるまま過冷却水に放り込まれるなんて。しんじられないわ」
「明日、すべて決着する。今日は寝よう」
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