第9話

 美紗は美術館の写真の被写体は殺されてるんじゃないかと考えた。14年前の桂林徹夫妻の殺害事件の写真と一助が同じだと騒ぐぐらい構図が似ている。犯人が再び犯罪を犯したとすれば、遠辺野憲重が犯人。それは一心が追っている。だから、私は、被害者から追いたいと静に話し、一心が事務所に戻ったら伝えてと伝え、自室のパソコンにしがみついた。

丘頭警部から預かった、1年以内に行方不明になった女性の写真を保存してあるメディアをパソコンにセットして、美術館で撮ってきた写真と照合しようというのだ。当然、警部からは、同じ事は警察で既にやって一致はしなかったと言われている。

 しかし、美沙には自信があった。昔警察が絶対に監視カメラの映像には写っていないと豪語した札束を、一助が見つけた。という前例があるのだ。

 数時間して結果が出た。「不一致」という文字が画面の中央に表示された。それは、単に警察のやった事を再検証しただけに過ぎない。にたりとして、照合対象から顔を外した。特に、バッグなどの小物、服は居なくなった時点の証言による衣装を色を抜いた形、この2点に限定した。

 美術館の写真からも、バッグと服などを言葉で表現してみた。ブランド名も加味した。

画像の照合を文字での照合に変えたのである。当然に、該当数は多く出る。それをスタートとして、絞ろうという気の長い作業になる。行方不明者は300人にのぼる。

作業しながら、何度も間違ったかと思ったが、初心貫徹の言葉を胸に頑張った。途中から静が手伝ってくれた。何もいわず、やり方を言ったら黙々と作業を続けてくれる。

三日目の早朝ようやく比較文字列ができた。

照合のボタンを押下して、朝ご飯を食べる。終えて、戻ると結果が出ている。30件一致した。

ここから、その30先へ訪問して、美術館の写真を見てもらうつもりだ。丘頭警部にその旨伝えて、許可を撮る。不審に思われたら丘頭警部に電話を入れて確認してもらうためだ。静と数馬と一助も協力してくれた。ひとりが7先当たってくれたら、自分は9先当たれば一回りだ。と思っていたら、途中から一心も加わって、予定より早く4日間で終了した。幸い30先に遠方のひとはいなかった。都内と千葉、横浜、一人だけ名古屋だった。

 結果、6人の身内の人がそうかもしれないと申し出てくれた。

 

 美紗が6人の共通点を探る。女子高生1名、OL2名、主婦1名、アルバイト1名の6名。都内に居住しても区が全く違う使う路線が違う。

 共通と敢えていえば、女子高生は授業で浅草美術館へ行っている。OLは美術大学をひとりが出ていた。主婦は子供の要求で浅草美術館へ行っている。しかし、それは当初旦那さんが行くはずだったが当日急に熱を出し、がっかりする子供のために興味のない美術館へ行ったと話してくれた。

アルバイターはたまたま美術館前を通りかかり、気が向いて入ったという。

 ただ、浅草の美術館へ行ってるとしても時期は何ヶ月も違う。

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