第4話 祖父のことと、伯母の離婚
情報システム部の部長からの連絡で、社長が開発室のパソコンにアクセスをしたことを受けて、秘書から情報システム部部長へ開発室のデータを完成させたように見せるよう指示をだした。それから僕は祖父である会長にこのことを伝えなければならない。祖父はこのことをわかっていて、僕らを泳がせている状態だろう。それはこちらも承知している。これからは祖父である会長に動いてもらわないといけない為、会長秘書に連絡を入れた。すると会長の邸宅に八時にくるように連絡があった。
祖父は今は一人で暮らしている。三年前に祖母が病気を患い、闘病の末に亡くなってしまっていた。祖母も祖父と同じような人だった。あまり自分のことの他は、関心を持たない印象で、僕もあまり可愛がられていなかったように思う。ただ伯母とは気があったらしく、一緒に出かけることがあったようだ。邸宅には住み込みの家政婦が三人程いる。この人達は僕に良くしてくれていた。よく働く人達で、いつも家の中が磨かれて綺麗だった。食事もこの人達が作っているようだ。邸宅に住んでいるが、食事は一般家庭の食事を食べているようだ。それは会食で美味しいものを食べるので、家ではホッとするような食べ物が食べたいらしい。それは僕が子供の頃に家政婦の一人から聞いた話なので、実際のところはわからない。
夜八時過ぎに邸宅に到着し邸宅の中に入ると、応接室の一人掛けの椅子に会長が座っていた。遅れて申し訳ありませんと声をかけ、会長の右手の椅子を指し示されたので、そこに腰を下ろした。今日は何の話だと会長から話を振られたので、社長の動きについて説明することになった。
社長が我が社の開発部の技術を、フーズ四宮に渡そうとしていて、開発室に何度も入りアクセスしていること。ただ対策は取っているので正しい情報は漏れることはないが、現場を押さえる必要があるということを伝えると、会長は証拠はあるのかと言うので、社長がフーズ四宮の営業部長の梨本さんと会っていた写真と、伯母さんがたまたま買い物で入った喫茶店で社長を見つけて近くに座り話を聞いていたと伝えると、会長は大笑いした。僕がキョトンとしていると、あいつ自分の嫁に…。と言って笑いが止まらないようだった。そして咲さんはどうするんだと聞いてきたので、離婚を考えているようですと伝えると、わかった先に離婚を進めろと言われた。それと、あいつがアクセスした時点でこちらに連絡をしろと言われたので、かしこまりましたと言って話は終わった。
会長の邸宅を出て自宅に戻り、友人にこのことを話した。すると一枚の名刺を差し出してきて、それには日方法律事務所、藤田寛之と書かれていた。既に弁護士の方に連絡を入れてくれていたようで、伯母さんの件は話してあると言われた。それで、僕がこの件を動くと目立ってしまうので、友人が動いてくれることになった。どうやら彼の父の友人らしく、今でも付き合いがある人のようだ。彼は本当に顔が広いなぁと思っていた。伯母にはこちらから連絡を入れて、秘書の永島が伯母さんの離婚の件で動いてくれるので、連絡先を伝えておいた。
ふと会社のことについて考えていた。社長が退陣した時に、社長が持っている持株はどうなるんだと。それで、うち独自の持株規定について調べてみることにした。うちの会社は12750株ある。そのうち会長が持ってる株が5500株社長が3200株そして僕が1500株その他は合併前の役員関係者で2250株だ。もし会社を去る場合は、株式を譲渡することとしているようだ。ただこの株を会長が持ってしまうとさらに今以上に会長の思い通りになってしまう。それは阻止しなければならない。
それについても早急に動かなければならない。
翌日会社に行き、これからどうすべきかを考えていると、友人が今日仕事終わってから、話があると言われたので了承した。そして今の現状の情報システムの進み具合について、確認しようと情報システム部の部屋を訪ねることにした。情報システム部に入ると、皆立って迎えいれてくれたが、そのまま仕事を続けてくださいと伝えると、皆着席し作業をしていた。そしてその中の一人がサーバーの変更についての予算組したものを、部長に見せているところだったので、一度見せてもらうことにした。するとその会社について見てみると、以前に参加したことのある異業種交流会で名刺交換した会社だったので、もう少しコストを抑えることができるかこちらからも連絡してみることにした。
仕事が終わり永島と家で食事の後話をすることになった。一旦伯母を会社に引き入れることはできないかと言われた。会社に引き入れるにしても、どういった部署にするのかだけどまた何故そんな話になるのか、彼が意図することが見えなかった。そうすると、離婚した時に慰謝料の中に株式譲渡を含めようと思ってるから、そうなると社員としていないと、規定に引っかかるんだと。でも伯母はパソコンあんまり得意じゃないけど、ガーデニングや片付けは得意だけど、あとそう言えば茶道は教えることできたかも知れないな、伯母に確かめないとわからないけど。すると、今から伯母さんに連絡できるかと言われたので連絡することにした。
「…はい、実誠くん。」
「はい、伯母さん。少し聞きたいことがあって電話したんだよ。今ちょっといい?」
「ん…。後でもいいかなぁ。今日は主人が帰ってきてるのよ。」近くで、明るい感じの声が聞こえてきた。
「えっ、そうなの?じゃあ、明日食事行こうよ。その時に話すね。」
「うん。わかったわ。そしたらまた明日ね。」
電話を切った後、漏れ聞こえた社長の声色で何かいい事があったんだろうと思い、永島にまだ社長の調査継続中かと聞いたところ、いや今は中断していると言われたので、再度至急調べてもらうよう依頼した。そして伯母と明日食事行くから、永島も一緒に行こうと話をした。
翌日仕事が終わって、伯母を家まで迎えに行き伯母の好きな寿司屋に行った後、僕らの家に伯母を連れてきて話すことになった。昨日伯母に電話をかけた時に社長の様子が気になったので聞いてみた。けれど、結構ご機嫌に酔って帰ってきたのでわからないけれど、俺にもできたとかなんとか言ってたわよと言っていたらしいので、俺にもできたって子供か?確かあの女性って、他にも相手いたからな。まぁそれは調査の結果を待つとしよう。
それで、伯母さんに聞きたいことを話してみると、お茶なら教えることできると言うことと、聞いてると抹茶のことも詳しいようなので、伯母に社員として抹茶の仕入れについて関わってもらうことにしたらどうかと言うことになった。それはこれから抹茶の菓子を充実させていくのに必要な人材として、開発室で話が出ていたので、丁度いいのではないかということだった。ただ伯母さんのやる気次第なんだけどと話をすると、しばらく黙っていた伯母さんは、働く場所があるのなら働きたいけれど、以前に言ってくれたことと違わないと言われたので、あっそうだったと僕が言ったことを思い出した。僕が養うから一緒に暮らそうって言ったんだ。すると横で話を聞いていた友人が事情を話始めた。それでご協力頂きたいのですと。
「私を利用するってことなのね。」と、伯母は悲しそうな顔をした。それで僕は伯母さんに、一緒に住むのは変わらないよ、働くのも一時でいいんだよと言うと、今度は怒り出した。
「伯母さんを馬鹿にしないでちょうだい。仕事が嫌とは言ってないでしょ。ただあなた達何を企んでるの、会社をどうする気なの。働く従業員にも家族があるのよ、あなた達の勝手な行動がどれだけの人が迷惑するのかよく考えなさい。それから、離婚に関しては自分のことだから、知り合いの弁護士に頼むことにします。証拠揃えてくれてありがとう。」そう言って、僕らの家を飛び出して言った。困ったことになってしまった。伯母を引き込めると思ったんだけどなぁ、伯母さんを侮っていたのかもしれない。そう言った言動や態度が伯母の逆鱗に触れてしまったと、今更ながら反省をした。
翌日どうすればいいか頭を抱えながら仕事に行くと、珍しく拓実から連絡が入った。昼休みに二人だけで話したいことがあるとのことだったので、近くのカフェで話すことにした。それまでは日常の業務をこなしていった。
昼休みにカフェに行くと、先に拓実が来ていた。そして僕は拓実の前に座り、注文を終えると話を切り出してきた。
「昨日社長の奥さんから連絡があった。奥さん離婚するから弁護士との話をする時に付き合ってくれって言われたんだ。実誠じゃなくてと言ったら実誠はダメ、拓実くんあなたにお願いしたいって。奥さんと何かあったのか?」そう言われて事情を拓実に話をした。そうすると拓実はため息をつき、拓実からも叱られた。それで今回は僕が動くから、お前は会社の方を動けと言われた。それで僕は伯母のこと頼むと言ってこの話を終え、システムの進捗について話をしていた。
休憩が終わり会社に戻ってから、休憩から戻った永島に上手くいきそうだとだけ伝え、あとは仕事終わってから話すと伝えておいた。会社のシステムについてもあともう少しと言うことなので、後は社長の動向を注意深く探るようにした。今日は定時に業務を終われそうなので、週末ってこともあり永島に飲みに行かないかと声をかけた。まぁどちらにしろ同じ家には帰るので彼の業務次第だが、三十分程待ってもらえれば行けるということなので、待つことにした。
僕は店を検索し、二人で居酒屋へ向かった。店内は人はまばらだが、それぞれお酒を嗜み話し込む人が多かった。僕らは案内された席に座り、取り敢えずビールを頼んだ。そして僕は拓実に昼間に聞かされた話をして、計画を変更しなければならないことを告げた。今回は拓実に任せるしかないので、社長の方をこちらで動くと言う話をしていると、永島からは今日昼に追加調査が上がってきたと写真を見せてくれた。妊娠はしているようだが、社長の子供ではないようだ。金目当てだろう、相手は仕事はしてるが稼ぎが少ないみたいで、しかも彼女の幼馴染らしい。社長はもちろんこのことを知らないらしい。そのことだけを聞くと、社長も可哀想だなぁとは思うが全体的に見ると自業自得の結末だからなんとも言えない。でもよくやるよな相手の女も、バレないものなんだなぁと二人で話ているとビールが運ばれてきた。
二人で久々に飲んで帰ったことで、リフレッシュするいい機会になった。帰ってきたらお互いにシャワーを浴びて、お酒をある程度抜いてから布団に入った。布団に入ってしばらくすると、携帯の着信音がした。まだ浅い眠りだったせいか何度か呼び出し音がなったところで電話に出ることができた。
「…はい、もしもし。」
「寝てるとこ悪い拓実だけど、明日社長の奥さんと弁護士に会うことになった。追加の情報はあるか?」
「…ある。」そして僕は今日永島から聞いた調査の結果を簡単に伝えた。それでその資料を明日一番にほしいと言われたので、母校の大学前で待ち合わせをした。そこから弁護士事務所が近いらしい。そして僕は再度アラームを設定後、眠りについた。
ピピピピッ ピピピピッ ピピピピッ…目覚ましのアラームが鳴り目覚めるとまだ六時を示していた。まだ早いなぁと思いながら再度寝ようと思った時、そう言えば寝る前に電話があったような気がすると着信履歴を確認すると、拓実から電話があったので、何だったかとぼうっとしていると、ハッと思い出した。時間を見ると十五分程経っていたので急いで準備をした。ここから待ち合わせ場所までは一時間程かかるからだ。取り敢えずコーヒーだけ飲んで、昨日見せられた写真や書類を準備し家を出た。
電車に乗り車窓を眺めながら、伯母さんにどう話をすればいいのかを考えていた。伯母さんがあんなに怒るとは思わなかったので、何か気に触ることがあったんだろうかとか思いを巡らせていた。四十分程電車にのり最寄りの駅に到着すると、そこから大学まで徒歩で向かった。大学時代に通った道なので、懐かしさを感じながらまた新しい店ができたりしていたので、後で立ち寄ってみるかと考えながら歩を進めた。
大学前には拓実が一人待っていた。伯母さんはと聞くと事務所前で待ち合わせだから、ここにはこないとのこと。拓実なりに気を遣ってくれたんだろうと思うが、凄く早くないか待ち合わせ時間と言うと、ちょっと話がしたくてなと言われたので、近くの開いている店に入った。それで伯母さんの怒ったことの背景にあったものを聞かされた。伯母は伯父とは政略結婚のようなことで結婚したのだが、祖父の会社に比べ伯母の実家の立場が弱く、そしてその会社同士の関係に反対する勢力により社内で混乱が起きていて、社長交代の騒動を起こした人がでてきたのだと。結局その騒動により会社の信頼を失い、社員をリストラする羽目になり、多くの従業員が路頭に迷うようなことに陥ったらしい。それで同じことをしようとしているのではないかと、叱りつけたんだと。それを聞いて僕は納得がいった。けどこれから伯母との関係をどうすれはいいのかもわからない。拓実からはしばらくは僕が対応することにするから心配するなと言われたので、ただ結果が気になるのでまた連絡をもらえるように言っておいた。そして拓実と別れたあとは、折角朝早く街に出たので、久しぶりに散策をすることにした。こういう散策から新商品のヒントが生まれることがあるので、新鮮な気持ちで色んな場所を訪れた。
家には昼過ぎに帰った。帰ると永島が朝早くどうかしたのかと言われたので、昨日貰った写真とかを拓実に渡してきたと伝えた。あとは拓実に任せたので、あとは待つしかなかった。あと、頼んでくれた弁護士の方には断りを入れてくれと永島に伝えた。
「こんにちは、待ちました?」そう言って待ち合わせの場所で待っていた、社長の奥さんに声をかけた。
「こんにちは、拓実くん。悪いわね朝早くから付き合わせてしまって。この時間にしか空いてなかったのよ。」そして僕らは事務所の中に入っていった。
事務所に入ると、奥さんの知り合いの弁護士さんが挨拶してくれた。そして応接室に通され名刺交換をし、打ち合わせが始まった。まず調査結果を見て頂いた。婚姻期間長いし浮気期間五年だと、慰謝料として五百万くらいお互いにとったらどうかと、あと旦那さんとはそれ以外に財産分与があると。それは会社の株が欲しいわと奥さんが言ったのには驚いたが、それは難しいのではないかとのこと。その会社の社員でないといけないのであれば、奥さんが社員にならないと持てないでしょうと。けれど奥さんは「主人は会社を辞めることになるわ。それでその株をこの子拓実に譲らせるの。ただその代替え案として財産分与をなしにするわ。」と言ったので驚いた。
財産は貰った方がいいのではというと、大丈夫なのよと書面を出してきた。結婚した時に決めたルールが書いてあり、互いの署名捺印がされていた。
「お互いの通帳に入ったものは互いに詮索しないルールに結婚した時に決めてるのよ。」と平然としていた。その様子を弁護士の方と二人でポカンと見ていた。そして社長へと不倫相手への内容証明をどうするかとなった時に、まず社長の方を片付けた上で不倫相手へ請求することになり、まず社長へどう話すか話していた。それで決行は月曜日に話し合いをするので、事前にアポイントをとることになり、奥さんから明日話があるので自宅に帰ってきてくださいと連絡をしていた。
それで今後僕はどうすればいいか弁護士さんと話をしたところ、まず離婚の話を奥さんがする時に一緒にいてあげてください。暴力があってはいけないので必ず付き添ってくださいと言われたので、その通りにすることにした。それから不倫の慰謝料についてなどは弁護士に依頼してますので、明日弁護士の方から連絡がはあありますので対応お願いしますねと伝えてください。余計なことはこの時に言わなくていいです。そしてこの名刺を社長に渡すようにということで、一枚預かった。その後事務所を後にし、奥さんとカフェに入ることにした。
「拓実くん、今日はありがとうね。それと明日時間決めてないわね。」僕もそれは気になっていたのでどうするのか奥さんの返事をまってると、家に泊まるのはどうかしらと言われたので、それで良ければということで、カフェで一息ついた後、奥さんと一緒に自宅に着替えをとりに帰った。その時に僕の家に行ってみたいと言われたので、初めて人を家に入れた。
「綺麗に片付いているのね。あっそうだ、ひとつ気になることあるんだけどね、私のこと奥さんって言ってるでしょ。伯母さんでいいのよ。奥さんって何か他人行儀でしょ。だから、ねっ。」そう言って笑顔で言われたので、わかりましたと答えた。着替えなどを準備し、タクシーで社長宅へ向かい、初めて敷居を跨いだのだが、何故か懐かしい感じがした。すると伯母さんが話してくれた。
「幼い頃にここで過ごすことが多くてね、双子だから育児が大変だったしね、この近くにあなた達一家が住んでいたこともあって、ここに来ていたの。楽しかったわよ。あなた達のお母さんとも仲よかったからね。」
「そうだったんですね、ありがとうございます。」その後は僕らが離れるまでの話を聞かせてくれた。
夜になり食事が終わった時、社長が前触れもなく家に帰ってきた。僕がいることに驚いていたが、明日都合が悪くなったから今日帰ってきたとのこと。それで取り敢えず後片付けを手伝い、ダイニングで席につき話をすることになった。それで僕は念の為録音をすることにした。
「話って何だ、急に呼び出して。」
「離婚してください。」
「えっ、いいのか。」
「はい。慰謝料などの話し合いは後日弁護士を通して行いましょう。」
「慰謝料って何だよ。」
「お心当たりがあるんじゃなくて。もう調べはついてますから。あとは弁護士の方から連絡してもらいますので、これ名刺ね。」
「おう、そうか。それならこの家から出て行ってもらおうか、今すぐに。」
「構いませんよ。準備はしてありますから。大きい荷物は後日とりに参りますから。」そう言って自室に荷物をとりに行っていた。
「それで、お前は何の為にいるんだ?」不意に話を振られて驚いたが、見届け人ですと答えておいた。それで伯母さんは、荷物を持って家を出ることになってしまった。それで、どこか行く場所あるんですか?と尋ねると、契約を明日する予定だったらしく、今日はホテルにでも泊まるということだったので、伯母さんさえよければ家に来てくださいと伝え、また二人でタクシーに乗り家に帰ってきた。そして弁護士の方にお電話をし、今日のことを僕からお伝えした。
翌日の朝目覚めると、伯母さんが朝食を準備してくれていた。そしてどうせならと不動産の契約に僕の車で一緒に行くことにした。伯母さんが契約した部屋は駅から少し離れているが、バス停が目の前にあるマンションの三階の部屋で緑も豊かに見える場所だった。そしてどうせならと必要なもののサイズを測り、買いに出かけた。まずは電化製品、そしてIKEAなどを周り、大きいものを配達をしてもらえるようにして、一度部屋に戻った。それで伯母さんに、生活の基盤が整うまで家にいてくださいと言うと、凄く喜んでくれた。引っ越しも頼まないといけないので、業者への見積もりもしないと行けないので、取り敢えず土日毎に手伝うことにし、伯母さんに実誠にも手伝わせてもいいか尋ねると、気不味そうだったので、そこは僕から上手く言うし、このままだとお互い嫌でしょというと納得してくれたので、実誠にも今の現状を連絡すると、すぐに合流した。そして実誠の知り合いの引っ越し業者が、今日空いてるとのことで、引っ越しの見積もりの為に社長宅に向かうことになった。
月曜日に伯母のところに弁護士から連絡があったようで、明日火曜日の十九時から弁護士事務所で話し合いがあるとのことだったので、仕事終わりに向かうことになった。事務所に到着すると、既に話し合いは行われていたようだったので、僕は伯母さん達の話し合いが終わるのを別の場所で待っていた。しばらくすると中から呼ばれたので行くと、株式譲渡についての話がなされた。株主総会で会社の承認が必要であるので、総会を開くよう依頼しなければならないとのこと。それでは辞められる時に株主総会が開かれると思いますので、その時でいいのではと言うとではそうしようと言うことになった。離婚の話し合いは伯母のいい分が通ったようだったので、後は引っ越し作業だけになった。実誠には伯母の件を電話で伝えておいた。
拓実から伯母の離婚成立を受け、祖父へ電話で連絡を入れた。後は社長が動くのを待って、株主総会を開き株主譲渡だが、どっちにするんだと言われたので、拓実と相談しますと言って電話をきった。もし拓実に譲らせることになっても、計画には変わりはないので焦る必要もないと思っていた。
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