第82話✤イシュラークの街まで3
駐車場の入り口まで駆けだした僕がみたのは、超巨大ワイルドボアだった。
通常の3倍……地球でいうならアフリカゾウの2倍位かな?
赤くはないけどその巨体にしては素早い個体だった。
いやあれをCランク以上でって無理じゃない?
見れば10人もいないじゃない……あ、3人吹っ飛ばれた。
「回復掛けます!」
冒険者の中に割りいって
単体治癒ではない範囲治癒魔法に周りが驚くが、僕の姿……ハイエルフだと察して納得してくれた。
本来なら駐車場の結界には近づかないはずなのになぜだろうか?
でもあの巨体は良い。
倒してから食べられるか鑑定して、浄化したらみんなに配分できそうだよ!
ジュルリ……。
「【身体能力上昇】【防御力上昇】【攻撃力上昇】【敵能力低下】」
並列思考で同時に4種類のバフ魔法を掛けてから、手に持った杖で殴りかかる。
生命の杖でもいいんだけれど、殴りに適した杖……虹輝石の杖を両手持ちにしてフルスイングした。
ゴオオオン!という音がして超巨大ワイルドボアは横なぎに吹っ飛んで転がっていったんだけれど……。
あれ? 僕そんなに強く殴っては……いない……はず?
心なしか周りの冒険者が恐ろし気な視線を超巨大ワイルドボアではなく、僕に向けてくるんだけど……?
いや、だって……殴ったら吹っ飛ぶよね? え?ふっとばない……?
邪龍軍の10~20メートル級ドラゴンを聖とぽんぽんコロコロしていた頃より大人しくなったんだけれど??
大体アーバレストからエクシアくらいのが多かったね~とか話していた記憶があるんだよ。
なので、鋼鉄ジーグ位の大きさならいけると思ったけどさぁ。
「グオオオオ!!」
あ、超巨大ワイルドボアが起き上がってこちらに突進してきた。
「任せろ兄ちゃん!」
と僕の目の前で大盾を構えた30ちょいくらいの立派な鎧を付けた
「リフレクトシールド!……からのシールトバッシュ!」
突進してきたエネルギーを3倍にして反射してからの大盾での一撃。
これ確か昏倒もしくはスタンの効果が入るはず。
その通りに超巨大ワイルドボアは足を止め、ふらついた。
「ありがとう!盾の人!シュトゥルム!」
僕は風の魔法に圧力をかけ、真空の刃に変換したもので超巨大ワイルドボアの首を切り落とす。
すると血しぶきをあげて超巨大ワイルドボアは絶命した。
うん、ちょっと血が掛かってしまったけれど、まぁ概ねだいじょうぶかな。
盾の人を中心に範囲治癒魔法と浄化魔法を掛けてから、兵士を交えて話すことに。
「兄ちゃん、魔法ありがとうな」
「こちらこそ、受け止めてくれてありがとう。スキが出来たから仕留める事が出来ました」
盾の人はライカーさんという元王宮盾騎士で、今は引退して冒険者の盾役として活動しているという。
なんで騎士辞めたかって聞いたら、上司がろくでもなかったんで殴って辞めた、だそうで。
こういう人たまにるよな、と思う。
連合軍時代、上司の無理難題にブチギレてボコった中間管理職、多かったからなぁ。
そして兵士さんからものすごくお礼を言われた。
でも、結界が張ってあって忌避されるはずの駐車場にやってきたのはおかしい、ということで地中に埋まっている結界石をひとつづつ調べていく。
これ、認識阻害と隠蔽魔法が掛かっているけれど、管理者コードを使用するとどこに埋まっているのか解るんだよねぇ。
なにせ連合軍これを使って「ここをキャンプ地とする!」てやってたんで……。
調べてみてわかったけれど、結界石の幾つかが魔力不足に陥っていた。
結界石の魔力は外敵を弾くたびに消費されるタイプのものなので、長い間で全体魔力量のバランスがおかしくなったんだろう。
ちゃっちゃと結界石に魔力を注いで満タンにしてから、改めて結界も強化しておいた。
そのことを兵士さんにこっそりと伝え、報告はノイエファルカスのクレイ殿下にお願いします、といっておいた。
面倒ごとはお任せしまーす!
「さて、超巨大ワイルドボアの配分だが……倒したハイエルフの兄ちゃんに全体の半半分、盾士の俺に2割、駐車場に1割、その他は等分という事で落ち着いたんだが、それで大丈夫か?その他のやつらは解体も任せている」
「うん。それで問題ないよ。とりまとめ有難う」
兵士さんと話し合っていたらそんな感じでまとめられていた。
僕としては肉が手に入ればいいのだ。
それに、その他で等分でもいいひと財産になるしね。
その後、きっりち細部までわけて分けきれなかったのは駐車場へ、という配分にした。
そして……
「みんな大好きBBQです!」
連絡馬車も出発を遅らせてのBBQ大会になった。
ほら、超巨大ワイルドボアをみてまだ怖がって馬車に乗れないって人もいるし……ね??
ああ。お肉とお酒おいしい!
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