第59話✤作り置きを作ろう・3

 さて、翌日です。

 ダイヤちゃんとクォーツ君には体調の串焼きを作ってもらっております。

 僕とメルトで肉や野菜を切り、それを二人が教えたとおりの順番で串にさしていきます。

 一串に約10個ほど野菜と肉を交互に刺してもらい、それを聖が土魔法で作ったBBQ用の竈に網を敷いて焼いてくれている。

 勿論、野菜だけとか肉だけもあるし、肉も色んな種類を用意したのでバラエティは豊富だ。

 焼きあがった傍から大皿にのせてそのまま収納へIN。焼いてないものも収納してある。


「二人とも少し休憩していいぞ。手を洗ってから食べるようにな」


 と、聖が二人に焼きあがったリザード肉と根菜の串と玉子サンドを傍に置いた。

 生肉触っていたからね、手は洗わないと。

 二人は水場に行き、教えたとおりに石鹸で手を洗い、新しく渡したタオルで手をふいた。

 衛生、大事。


「ありがとうございます」

「焼きたて、おいしそうです!」


 早速手を留めてお肉をパクリと食べるクォーツ君。

 スパイス多めに振りかけたやつだけど、美味しい美味しいと言って食べてくれた。

 ダイヤちゃんはまず、玉ねぎを口に含み、その甘さに驚いていた。


「この玉ねぎ甘いですね!」

「火を入れると甘みが増すよねぇ。僕も好きなんだ」

「メルトはシャーフのお肉がいい。柔らかい~」

「俺はボアもいいけれどカウがいいかな。がっつり系!」


 ちょっとした休憩になってしまったけれど、朝から二時間延々と串ものばかりで飽きてきたところもある。

 とりあえず竈の横では魔導オーブンで今ローストビーフを仕込んでいるので、それをみつつ僕も串焼きを頂いた。

 うん、焼いた小ぶりのトマトが美味しい。

 ミニトマトより大きめで釣鐘型のやつが売っていたので買ったんだけれど、正解だったな。

 聞けばソース用にあるやつで、濃厚な味と酸味が特徴なんだとか。

 沢山かったので後でソースにしてもいいな。


「玉子サンドの他にもフルーツサンドやカツサンドもあるからどうぞ」


 と、ここぞとばかりに前の余り物を出していく。

 フルーツサンドはおやつやデザートとしてつくったのであまり数がないんだよね。

 ちょっとずつ出してたからか、中途半端な数が余ってしまった。


「母、チーズトーストつくっていい?」

「いいよ。はいこれ材料」


 メルトが好きなチーズトーストは厚めに切ったバンズをまず片面焼いてから裏返し、焼いた面にチーズをたっぷりのせてとろけた所で蜂蜜を掛けたものだ。

 僕と聖は蜂蜜ではなく黒コショウとオリーブオイルをちょっとたらしたやつが好きなので、メルトにそれも作ってもらうようにお願いした。

 休憩っていうよりもちょっと早い昼食になったな。

 ならばとこちらもあまりものだがコーンスープとクラムチャウダーを出す。

 ちょっと量が多いけれどこれで終わりなので皆には頑張ってもらおうかな。


「こんなに豪華なご飯、初めてです……」

「美味しいしか言えない……」

「これも食べる?」


 と、メルトが蜂蜜チーズトーストを4つに切った物を目の前に置き、それを口に含んだ二人の瞳が輝いた。

 うんうん、美味しい笑顔頂きましたな。


 そうしているうちに魔導オーブンから焼き上がりの音が鳴り、早速見に行く。

 うん、周りも焼きあがっているし大丈夫だろう。

 そのまま中身を入れ替えてローストビーフ作成二巡目へ。

 そして周りにお野菜はそのまま刻んで具沢山コンソメスープにする。

 仕上がりを見るために少し切り分けて配ると、皆から美味しいのお墨付きを頂いた。

 うんうん。よきかなよきかな。


「さて、一息ついたら串もの再会しようか」

「「はい!」」

「メルト焼きの方やりたいから、父、竈作ってー」

「はいよー」

「みんな宜しくね」


 それからまた全員で串を作り、焼いて収納、焼いて収納。

 ローストビーフの野菜でスープを作る際、串焼き作りで出た野菜くずを煮込んだベーススープを使いこれまた大量に作り上げた。

 使い切れなかった野菜くずは肉団子に使ったりして余すところなく使い切った。


 そして夕方、思いの他多めに作り置きが出来たので、少しずつ大皿に取り分けて手伝ってくれた二人への土産として渡した。


「明日はもう出発準備になるからお手伝いは大丈夫だよ。二日間有難う。すごく助かったよ」

「こちらこそ、色々な調理法を学ばせていただいてありがとうございました!」

「俺、料理がますます好きになりました!」


 それぞれがお礼を言って二人は家に帰っていった。

 その足取りが楽しそうでなによりだな。


「もう他にやることないの?」

「明日は土鍋でお米を炊くだけだから」

「おにぎり?母、おにぎり?」

「そうだよー。大量の具材の瓶を買い込んだから、明日はおにぎり作りです」

「やったー!」


 こればかりはあの二人には見せられない商品なので地道に作り続けるしかないんだよねぇ。

 大型スーパーの通販でおにぎりの中身になりそうなのを買い込んだからさ。

 聖には竈はそのままに、網は綺麗にして海鮮串とおかず用の魚を焼いてもらう事にした。


 一ヶ月以上は野宿できそうな量が出来たのはありがたいね!



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