第58話✤作り置きを作ろう・2

 まずは食材の用意。

 買ってきたものに加え、異世界通販スキルで買ったものも(当然器に移し替えて)出す。

 マッシュルーム、水煮したカットトマト、玉ねぎ、デミグラスソース、赤ワイン等々に、先ほどスライスした薄切りのグラスカウの肉。

 マッシュルームと玉ねぎをスライスし、グラスカウの肉は長さ7センチくらいかな。

 大きな鍋にバターを入れてグラスカウの肉を投入、色が変わってきたらスライスした玉ねぎとマッシュルームをぽい。

 しんなりしてきたらデミグラスソースや赤ワイン、カットトマト、顆粒コンソメ等を入れて塩コショウを入れる。

 そのままくつくつと煮込めば簡単ビーフストロガノフになりました。

 土鍋で炊いておいたバターライス(チキンコンソメとバターでできます)を木の器に盛り、その上から出来立てのビーフストロガノフをかけ、生クリームをさっと散らすように掛ければ完成です。


「お昼の賄いだから、食べて」

「ありがとうございます!」

「おいしそう!」


 聖とメルト、ダイヤちゃんとクォーツ君にそれぞれ渡して、庭に出した6人用のテーブルセットで昼食を取った。

 うん、聖やメルトが沢山食べるのでうちは6人掛けがちょうどいい大きさなんだよね。

 あとはまだ残っている前に作った物をだし、消費してもらう。


「これ美味しいです!」

「ナスとピーマンのシソ味噌炒めだよ」

「こちらはなんですか?」

「人参とレンコンとちくわのきんぴらだよ」

「ちくわ……?」


 と、まぁこちらの世界ではなじみがないものも少々あるけれど、おおむね二人には好評だった。

 なんというかどうしてもね、作り置きっていうと茶色いおかずに寄っちゃうんだよね。

 その他にも豚足とかも出したけれど、最初はおそるおそる手を付けていたが一口食べてから頬張っていた。

 甘辛く煮たから気に入ったのかもしれない。


「見たことがない料理が沢山です」

「各地を回っている時に覚えたんですか?」


 キラキラした瞳の二人に、一部は僕の故郷の料理だけれどこっちでも似たようなものは作れるよ、と答えた。

 豚足はどうだろうな……。食肉用に飼育されたジャイアントボアをどうにか……うーん??


「僕の故郷は島国なんだけれど、食に対してはちょっとおかしい所があってね」

「おかしい……?」

「普通に食べたら毒でしかないモノを何年かかけて無毒化させたり、灰を混ぜたり、どうにかして可食部分を見つけたり、よく解らない文化もあるんだよ……」

「どうしてそこまで……」


 ほんと、どうしてなんだろうね……。ちょっと不思議だよね。

 それしかない訳じゃないんだけどなぁ。


「そういう事もあって、割と色々な食材を使う事には長けてはいるんだよ」

「だからこんなに素晴らしいごはんが出来るんですね……」

「すごい……島国すごい……




 さて、昼ご飯も済んだし作り置き作業の続きをしようか。

 メルトには煮込み料理を見ててもらっているから、二人には卵を割ってもらおうかな。


「この200個ある卵を割ってもらえる?50個ずつボウルに入れて菜箸で切るように攪拌してほしいんだ」

「「はい!」」


 とりあえず、攪拌の仕方はこうね、と菜箸でチャッチャッチャとやって見せる。

 正確にやらないでも多少混ざっていればOKなので。

 それで作るのは卵焼き。

 一つはだし巻き、一つは甘いの、一つは味噌入り、一つは具材入り。

 ダイヤちゃんに四角いプライパンを渡して、くるくると層になるように重ねていく焼き方を教えると、器用にもくるくると巻き始めた。

 大体厚さが5㎝くらいになるまで育ててと言うと、見事な卵焼きが出来上がってきた。

 才能あるな、この子。


「ダイヤちゃんはこの出汁いりの方を全部作ってもらえるかな?」

「はい!」

「クォーツ君はなべ底が焦げ付かないように混ぜる係でおねがい」

「はい!」

「メルトはクォーツ君と煮込み管理してて~」

「うん!」

「枢、俺は?」

「聖は竈と土鍋をみてて。そろそろパンが焼けるはず」

「ういーっす」


 各員に指示を出して作り置きを増やしていく。

 今日は副菜をメインに作っているので、細かなものがたくさんできた。

 それらを少しづつ大きなタッパーに詰めて、二人へのお土産とした。

 明日も手伝ってくれるらしいので、揚げ物や焼き物をメインにやろうかな。

 流石に揚げ物は危ないからBBQセットでお肉やお野菜を焼いてもらうか。

 とすると、聖に大きめの土台と網を作ってもらわないとな。


「いいぞ?どの程度の大きさにするか指定してくれたら土魔法で土台、錬金スキルで網を作るよ」

「ありがとう~」


 BBQは聖も参加してくれるようなので、クォーツ君の面倒をお願いした。


「また明日。お昼前にはきますね!」

「お土産有難うございました!」


 二人は律儀にお礼をいってから、お家へと帰っていった。

 今日明日は僕の手伝いもするので、普段より遅い時間になったので、聖が送って行ってくれた。

 いつもはメルトと二人であーでもないこーでもないとやっていたけれど、人が増えると楽ではあるねぇ。

 副菜も何だかんだで20種類は出来たし、1Lサイズのタッパーが何個も詰みあがっている。

 明日はメインとスープ系かな。よし、頑張るか。




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