第3話 戦い(清掃)の始まり

 ライトさんは急足で量へ戻った。僕もそれについて行って戻る。


 寮の寝室で、作業服に着替えるよう言われた。そして着替えると掃除道具を持ったライトさんが寝室の前に立っていた。


「いくよ、エレンくん。しっかりついてきてね」


 ライトさんは優しくそう言うが、目は真剣だ。


 段々と寮が騒がしくなり始めた。周りにも、僕やライトさんと同じように一年生を連れた二年生が忙しなく動いている。


 ライトさんが上級生とすれ違った。作業服は胸元に名札を貼り、その名札の色で学年がわかるようになっている。ちなみに、白が1年生、青が2年生、黄色が3年生、オレンジが4年生だ。


「お疲れ様でぇぇぇす!!!!!!」


 ライトさんが敬礼して、上級生に叫んだ。今までのライトさんのイメージとはかけ離れた迫力があった。


「声が小せぇ! お前そんなんで1年に教えられんのか!? 下対番がみてんぞ!」


「お疲れ様でぇぇす!!!!!!」


「出んなら最初から出せやァ!」


 めちゃくちゃだ…………。これがライトさんが言ってたことなのか?


「急げぇ! 清掃はじまんぞ!」


「1年走らすなァ!」


 こんな感じの怒号が飛び交うが、それはいくらなんでも理不尽すぎる。


 そうこうしてるうちに、清掃場所に着いたみたいだ。ライトさんは箒と雑巾、そしてバケツをきれいに整頓して廊下の端に置き、身だしなみを整えた。


「君もできる限り身だしなみ整えて」


 そう言われ、僕も見よう見まねで整えた。


「オッケー? よし。じゃあ俺の合図に続いて俺の動きを真似て」


「わかりました」


「よし。気をつけ、回れぇ右」


 ライトさんを見ながら真似してみた。だけどこの回転が上手く決まらなかった。ライトさんすごいな。


 そのままライトさんと僕は気をつけの姿勢で待った。すると少ししたら黄色がついた名札の方が来て、僕たちの前に立った。


「1年、君は今日は上対番のやってるとこを見ててね。おいライト。なんだその着こなし、汚すぎだろうが!」


「失礼しましたァ!」


「すぐ直せ」


 ライトさんは回れ右して後ろを向き、急いで身だしなみを整える。


「うっし。気をつけェ! 清掃始め」


 この命令と同時に互いに敬礼し、ライトさんは掃除を開始した。

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