#7
テト爺さんから渡された2冊の魔導書を収納魔法ストレージに入れ、案内された裏口からの逃走を図る。
おい!ジジイ!ここにきた親子はどこに行ったぁ!!
その親子ならお腹が空いたとか言ってたのう。どこかの料理店に行ったんじゃないかのう。
その言葉嘘じゃねぇよな!嘘だった時は覚えとけよ!!
テト爺さんは嘘をついてまで僕たちのことを守ってくれた。その後どうなるかは僕にもわかる。きっと大変な目に遭うだろう。ありがとうテト爺さん……!この恩は次来た時に必ずお返しします……!
僕らは顔を隠すために念の為にフードを被ることにした。僕らの顔はすでに彼らに知れ渡っているだろう。遠くから少しでも見えにくくするだけでも効果は出てくるはずだ。
木を隠すなら森の中、人を隠すなら人の中。しかしテト爺さんが示した方へなるべく行かずに門のほうへ小走りで向かう。
遠くの方から男が叫んでいる。僕らのことを探しているのだろう。鼓動が早くなっていくのがわかる。早くこの場から逃げなくては。
だが早速問題がある。そう、門番である。あの門番たちをどうやって切り抜けるか。
あの門は魔力を検知するから多分バレるだろうね。
ですよねー。
ではどうしようか。現状を鑑みるに王都へ入った時のように出るしか方法がないと見た。もしそうなると、道中で刺客に襲われるのは明白。覚悟を決めるしか無いようだ。
じゃあ、ルナ。門をくぐったらお母さんが合図をしたら全力で縮地を使うんだよ?
わかった。
検問のために並ぶ人たちの中に紛れ、僕達も外へ出ようと試みる。門番の人にチェックされて次々と外へ出ていっている。あと2組……あと1組……。そして僕たちの番がやってきた。
観光はもうお済みですか?
門兵はにこやかに問いかけてくる。お母さんが受け答えをする。
えぇ。美味しいものも食べることが出来たし、お土産も沢山買えて満足しました。
それは良かった!ところで買ったと言いましたが、お荷物の方は?どちらに?
それなら私が。私はストレージが使えるのでそこに全て入れてます。取り出すことも出来ますが、見せた方が良いですか?
もちろん僕らはお土産なんて買ってない。なのにお母さんのこの余裕な振る舞い。なにか策があるのだろうか。
いいや結構。次の検問を受ける人達がほら、列を成して待っておられる。1組の荷物検査のために時間を割く余裕などないのでな。よし!通れ。
なるほど。こうなることを承知であの余裕だったという訳か。僕達は少しヒヤリとする場面があったが、王都の壁外へ出ることが出来た。
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