#5
幻影魔法の魔法書を買うため、お母さんにお願いして魔王の都へ行くことになった。僕が住む村から魔王都までは馬車を使って約半日、検問を終え王都へ入る。
出発から今まで違和感しかなかった。村で見たこともない形、装飾をした馬車、見たこともない服装をした
御者に礼をして目的である魔法書店に向かう。なんでもお母さんが昔よく通っていた店らしい。王都で最も賑わっている通りからだいぶ外れた路地。人通りがほとんどないこの路地歩いていくとその店はあった。『テト魔道書店』。そう看板には書かれていた。
店内は本棚いっぱいの魔道書や魔法の歴史に関する本。ツボに無造作に入れられている巻かれた紙の束。そしてやや埃っぽい匂いと古い本を扱っている店特有の紙の匂いが漂っている。嫌な匂いというわけではない、不思議と落ち着く。店の奥、会計する場所には白髪のおじいさんがいる。
テト爺さんお久しぶりです!
お?おぉ!ライラお嬢ちゃんかい!?久しぶりだねぇ。元気だったかい?
前と変わらず元気ですよ!今日は用事があってきました!
そう言われたテト爺さんと呼ばれた老人は僕に目をみやる。じっと僕を見つめ、そのあと何かを察したようにふっと笑うと、
そうかい。カナン様の息子様ですかい。そうなると坊ちゃんに必要なのはあの本だね。ちょいと待っててな。よっこいせっと、えぇと確かここにまとめておいてたな……。
ゆっくりと思い腰をあげ僕が望んでる本を知っているかのように奥の本棚へと向かい2冊の本を抱えヨロヨロと戻ってきた。
持ってきて僕に見せた本の名前は「魔道書『幻』」と「魔道書『影』」。
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