#4
それじゃあルナ、そこからここまで
僕がいる場所の地面に縁を描き、お母さんは5メートルほど離れて声をかける。ようやく縮地を実践する時が来た。使いこなせるようになったら目に見えるところ全てに縮地で行けるようになるらしいのだが、自分の体のどこかが地面に接していなければいけないという制約がある。前後左右への移動なら大丈夫なのだが今いる地点から木の上や屋根に乗るということはできないらしい。が。
……なんでお母さん屋根の上に縮地でいけてるの?
魔法の決まり事なんて本当はないからだよ?
……言っている意味が全くわからない。どの魔法書をみても、どんな魔法使いにしても必ず一つは制約があるというのにそれを無かったことにしている。
お母さんって何してた人なの?
魔法が大好きな魔法使いだよ♪
なんて言われていつもお母さんが昔何をしていたのかはぐらかされてしまう。魔法の決まり事を無いものにできるのだからきっとすごい魔法使いだったのだろう。そしてそのすごい魔法使いが僕に魔法を教えてくれているんだ。身につけられるものは自分のものにしたい。
イメージは、と言われて瞬間移動をイメージさせるにはとても難しい問題だ。一体どういったイメージをすればいいのかが分からない。結果、訓練最初のうちはいつも失敗続きだった。出鼻をくじかれ成功させるにはと夕食中にも悩んでいたその時にお母さんがアドバイスをしてくれた。
ルナはお母さんとおんなじ考え方をするのね。縮地のイメージはね、いきたいところに自分がいて、そこにいる自分の姿と重ねるの。
と言われたが、食事中に言われても困る。それをすぐに実践できないから体がウズウズして仕方がない。でも、ご飯中は魔法を使っちゃダメと言われているからそれができない。ヤキモキした状態で夕食を食べ終えた。ちなむとその日はほとんど寝れなかった。
それじゃあ今日は昨日のアドバイスを思い出して頑張ってみて♪
縮地のイメージ。目標の場所に自分がいてその姿と自分を重ねる、だめだ!余計に頭が混乱してきた!言葉が難しいよ!一体どうすれば……
何かが見えた気がした。お母さんの隣に自分がいる。違う。そこにいるのはお前じゃない
体の内側で魔力がすごい勢いで流れていくのを感じる。心臓部から手足の隅々にまで行き渡っていくのを感じる。それを体の奥底から感じた刹那、僕は母さんの隣にいた。成功した。縮地が初めて使えた。
おめでとうルナ!縮地、成功したね!どんなイメージをしたのか教えてくれる?
うーんとね、内緒!
ただちょっと恥ずかしくて言えなかっただけだ。恥ずかしくも成功させたのはとても嬉しかった。やった。僕もちゃんと魔法が使えるんだ!
僕はどんどん魔法の奥深さにハマっていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます