#2
17年前、神歴1059年グイナディア大陸魔族領の最東端に存在する小さな村でカルナトゥアは生まれた。
生まれた時にはすでに父親と呼べる人はいなく、母親が女で一つで育ててくれた。村の人たちも僕の家の事情を知ってか我が子のように接してくれて特に不自由することなく育ってきた。
子供たち、と言っても魔族の子供全てに関して言えることは6つの年になると体のどこかに魔紋と呼ばれるものが浮き上がる。それは肩に出てきたり、顔に出てきたりさまざまである。
カルナトゥアも例に漏れず魔族である魔紋が左手の甲に表れた。現れたのだが、他のこの魔紋よりもだいぶ薄いのだ。他の子たちはそれぞれの肌の色に違いはあってもその紋章がはっきりと見えるほどの色合いをしているのだが、カルナトゥアのそれは近くで見れば形は見てとれるのだが、少しでも距離を取るとほとんど肌の色と同じなので魔紋がないようにも見える。カルナトゥアの肌の色は薄橙色をしている。いわゆる魔人と言われる種族である。母に関しては魔紋のところに大きな怪我を負ってしまい見えなくなっているのだとか。実際のところどうなっているのか全くわからない。
魔紋が現れたその夜母親から
まだルナにはわからないかもしれないけれど、あなたにはすごい力が眠っているの。なんて言ったって私とお父さんの子供なんだからね。もう少し大きくなったら魔法のお勉強をしようね。お母さんが教えてあげる。
ルナは左手の甲に魔紋が出てきたのね。色が薄くたってあなたが魔族であることに変わりないわ。もし色が薄いのが嫌だったらお母さんがルナの手にあった手袋をつくってあげるね。
魔族であることに変わりない。だがしかし、同年齢の子たちと比べ紋章のはっきりしない僕はそれに嫉妬した。だから僕は母親にお願いして僕の手にピッタリとあったグローブを作ってもらい、魔紋を隠すようにしてもらった。僕が魔族学園に行くまで何度も作ってくれた。成長が著しい幼少期にここまでしてくれたこと、本当に感謝でしかない。
魔紋が現れてから2年。今日から母の指導のもと魔法の訓練を受けることになっている。訓練を受けるまでの2年間僕は魔力を正確に、より繊細に感じ取れるように感知する能力を養い、それと同時に魔力を操作するイメージを掴むようにしてきた。
魔力感知は自分を中心に薄く広く魔力を輪を伸ばしていくイメージ。徐々に自分のテリトリーを拡大させていって魔力を持つ物体がその輪にあたるとどこにいるか検知することができる。
魔力操作は魔力を球を作ってそれを引き伸ばしたり曲げたりして小動物の形を作ったりしてみることで魔力を操作する感覚を養った。
それじゃあルナの魔力の適性がどの属性なのか調べるからこの宝石に触って魔力をこめてみて。
そして見せられたのは綺麗な球の形をした宝石だった。
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