世界浄化作戦〜空間と幻影を操る魔族領で生まれた人間の物語〜

カナデ

カルナトゥア 少年期

序章 

グイナディア大陸。神々が一時の休息を取るために作り出したと言われるこの地、訪れた全ての神々が地位や立場を忘れて笑い合う平和そのものの大陸。大陸の中央に存在する湖は澄み切っていて、植物もきれいに花咲き、小動物たちもやすらぎの場として使われていた。そんな平和な時代から1000年の時が過ぎた。


神歴570年、この大陸に新た生を受けた二つの種族が誕生した。人間と魔族である。二つの種族は互いに牽制しあい最後には人間の住む領域と魔族の住む領域の二つに分かたれた。


二種族が領地を決めるときに問題になったのが中央にある湖だ。この湖をどちらの種族が所有するかで大きな問題になった。全ての生きとし生けるものが安らぎを求めやってくるこの地が争いの火種になることは神は望んではいなかったのだろう。


長きに渡る湖をめぐっての戦争は神の裁きによりそこを死の湖に変えることで決着がついた。それぞれは戒めとして湖を半分に分け領地とした。今後の歴史でこのような過ちを繰り返さないために。


およそ200年続いた二種族の均衡は人間の欲深さで崩れてしまった。


悪魔たちにより湖は汚れた!神々の寵愛を受けた私たちが聖地を浄化しなくてはならない!


教会の人たちが声を上げた。あ互いが原因で今があるのに、さも魔族が全て悪いかのような口振りで人々を焚きつけた。


人間たちは軍を率いて彼の地へと向かった。そこからは人間は湖の近くにいる魔族を蹂躙しいていった。蹂躙した後、人間は穢れてしまった湖に特別な聖水を用いることで浄化したという。


これは事実と異なっていて、浄化できたのは表面の幾らかで未だ湖が汚れているのは人間でもそれに関係した人と王族しか知らされていない。国民には悪魔を湖に封印した、定期的に浄化の聖水を流さねばならないため近づくことがないように知らせ、さらに近づいたものには重い罰を下すということで事実を隠した。


「ということで人類は私欲のために湖周辺を占拠し、今の国境ができたというわけだ。おっと、そろそろ時間だな。じゃあ今日の授業はこれで終わりだ。人類史はなかなか興味深いところもあるから気になったことがあればいつでも聞きに来ていいからな。」


今日の人類史の授業が終わった。ここは魔族学園高等部。さまざまな種の魔族が通う魔族のための学園。次代の魔王の側近にふさわしいものの育成、魔王軍の重要な戦力となるために作られたここでは学問から武術、さまざまな教育を受けることができる。


僕はいつか必ず魔王軍の参謀となって勝利へと導く。始めるんだ。世界の浄化を。

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